2005 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陰性細菌のコミュニケーション物質の分子設計のための基盤研究
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16580060
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
加藤 純一 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (90231258)
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Keywords | クォーラムセンシング / 細胞間コミュニケーション / アシル化ホモセリンラクトン / Pseudomonas aeruginosa / 人工化学言語 |
Research Abstract |
グラム陰性細菌はアシル化ホモセリンラクトン(AHL)を用いて細胞間コミュニケーション(C2CC)を行っている。そこで、AHLを鋳型として様々な人工化学言語を創製し、それを用いることにより細菌の挙動を制御することを目指した。作成した人工化学言語の性能を明らかにするためには、人工化学言語を感知する制御蛋白質の精製が必須である。本研究はその制御蛋白質のひとつであるPseudomonas aeruginosaのRhlRの精製に成功した。RhlRは、PCRによってP.aeruginosa PAO1のゲノムDNAから増幅したrhlR遺伝子をpET21に組み込み、Escherichia coli RosettaBlue(DE3)内で高発現した。C2CC関連の制御蛋白質は過剰発現するとインクルージョンボディを容易に形成してしまうことから、その精製は極めて困難である。そこで、種々培養条件を検討し、IPTGの添加時期及び培養温度(28℃)を工夫することで可溶性RMRの発現量を増大させることに成功した。ついで、ヘパリンアガロース、Resource Sカラムクロマトグラフィーを行うことで、SDS-PAGE上で単一バンドになるまで精製した。RhlRの生理活性は標的遺伝子(たとえばrhlA)のプロモーター領域への特異的結合を指標に評価した。ゲルシフトアッセイにより分析を行った結果、精製したRhlRはN-ブチル-L-ホモセリンラクトン添加条件でrhlA上流領域に特異的に結合することが示され、RhlRに想定される生理活性を保持することが確認された。前述したようにC2CC関連の制御蛋白質を生理活性を保持したまま精製することは困難で今のところ、Agrobacterium tumefasiensのTraRとP.aeruginosaのLasIが精製されたのみである。新たに精製可能となったRhlRは人工化学言語の性能を評価する基盤ツールとして活用できよう。
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