2004 Fiscal Year Annual Research Report
マンノース結合性キノン配糖体を基盤とした抗真菌剤および抗HIV剤の開発
Project/Area Number |
16580090
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
五十嵐 康弘 富山県立大学, 工学部, 助教授 (20285159)
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Keywords | Pradimicin / antifungal / anti-HIV |
Research Abstract |
本年度はまず、抗真菌抗生物質Pradimicin(PRM)の体内動態を改善するために、水溶性向上と自己凝集性の低下を狙った新規誘導体合成を試みた。その結果、PRMの第二糖であるキシロースを過ヨウ素酸ナトリウムでジオール開裂した後、生ずるジアルデヒドを酸化して2個のカルボキシル基を導入した誘導体PRM-DCA類が目的とする物性を有することを見出した。PRM A、N,N-dimethyl-PRM C、BMY28864の3化合物を原料として、それぞれを誘導体化反応に供し、PRM-A-DCA, NN-Me-PRM-C-DCA, BMY28864-DCAを60〜75%の収率で得た。PBS溶液に対する溶解度は親化合物に比較してPRM-A-DCAが約30倍、他2化合物は親化合物が高水溶性誘導体であるが更に約2倍向上した。また、PRM-DCA類のマンノースへの親和性をUVスペクトル変化により検証したところ、いずれも親化合物の20分の1程度に低下していた。マンナンとの凝集性は、PRM-A-DCAとNN-Me-PRM-C-DCAでは親化合物の5%以下に、BMY28864-DCAでは30%まで低下した。このようにキシロース残基を酸化分解によりジカルボキシル基に変換したPRM-DCA誘導体が高い水溶性と低い凝集性を有することを明らかにした。一方、いずれのPRM-DCA誘導体もCandida、Cryptococcus、Aspergillusに対して抗真菌活性を示し、中でもNN-Me-PRM-C-DCAは親化合物とほぼ同等のMICを示した。過去の研究によりPRMの抗真菌活性発現には真菌表層マンナンへの吸着が必須と考えられていた。しかしながら、これらの結果は、PRMがマンノース糖鎖に強固に結合しなくても殺真菌作用を発揮しうる可能性を示唆している。Saccaromyces cerevisiaeにおけるPRMの主要作用点は膜浸透圧センサーの高マンノース糖鎖であることを特定しており、殺真菌作用にそのシグナル伝達経路の関与が示唆される。現在、PRM-DCA類の体内動態およびin vivoの活性、PRM-DCA類をリードとしたプロドラッグ化の検討を行っている。
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Research Products
(2 results)