2005 Fiscal Year Annual Research Report
マンノース結合性キノン配糖体を基盤とした抗真菌剤および抗HIV剤の開発
Project/Area Number |
16580090
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
五十嵐 康弘 富山県立大学, 工学部, 助教授 (20285159)
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Keywords | pradimicin / antifungal / anti-HIV |
Research Abstract |
本年度はpradimicin(PRM)の生理活性評価と誘導体合成の検討を行った。天然型PRMと合成誘導体の抗ウイルス活性をベルギーのルーベン大学REGA研究所のJ.Balzarini教授の協力を得て評価した。15種類のウイルスに対する活性を調べた結果、インフルエンザウイルス及びHIVに対して活性が見られた。そのうち最も強い活性を示したものは、PRM-A、PRM-S、PRM-FA-1の天然型PRMであり、N-ジメチル体の活性はそれに比べて弱かった。また、昨年度報告した新規誘導体PRM-DCA類は抗ウイルス活性を全く示さなかった。また極めて興味深いことに、該当するアミノ基にチオカーバメートを介してFITCを結合したFITC-PRM-AがPRM-Aと同等の抗ウイルス活性を有することを見出した。インフルエンザウイルスとHIVはエンベロープ表層に高マンノース糖鎖を有することから、PRMの主たる作用部位はこれらの糖鎖であると推定されたが、N-ジメチル体とPRMのCAが抗真菌活性を示すにも関わらず抗ウイルス活性を失うこと、並びにFITC-PRM-Aのマンノース親和力はPRM-Aの約100分の1に低下しているが強い活性を示すことは、抗ウイルス活性発現にはマンノース糖鎖のみが作用点とは限らないことを示唆している。 水溶性が大幅に向上したPRM-DCAの血中濃度を高めるため、脂溶性を高めたプロドラッグの合成を検討した。ヨウ化アルキルをKF存在化にPRM-DCA類と反応させたが、PRM-DCAにはアミノ酸部位に1つとキシロースに由来する部位に2つの計3つのカルボキシル基が存在するため、エステル体への変換効率はアルキル化剤により異なった。例えばブチルエステルはカルボキシル基全てが速やかに反応したが、メチルエステルではエステル基が2個生成した段階で反応の進行が停止した。これらのエステル誘導体は期待通りに脂溶性が向上していた。またPRM-DCA誘導体を抗真菌剤などの薬剤のドラッグデリバリーに利用するため、DCAのカルボキシル基部位へのリンカー導入を検討し、アルキルジアミンをリンカーとしてキシロース由来のカルボキシル基に結合させることが出来た。
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