2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580098
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 幸敬 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70211878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 元啓 京都大学, 農学研究科, 助手 (60293916)
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Keywords | 亜臨界水 / 合成 / 無触媒反応 / HMF / 単糖の分解 |
Research Abstract |
高温高圧下で液体状態を保った亜臨界水中では,例えば10MPa,250℃の条件では,水のイオン積も常温の水から3桁程度上昇し種々の反応が無触媒で進行する.この特長をいかし環境への負荷を軽減した食品加工プロセスの構築を目的とし,まず,薬や化粧品の合成の出発物質となる5-ヒドロキシメチル-2-フルフラル(HMF)を,糖から生産する変換反応を亜臨界水中で試みた.グルコース(Glc),フルクトース(Fru),ガラクトース(Gal),マンノース(Man)の4種類の単糖を,流通型反応器中で10MPa,180〜260℃の条件のもと滞留時間を変えて処理しその分解過程を解析した.その分解過程はいずれもWeibullの式(C/C_0=ex[-(kτ)^n])で整理することができた.その分解反応の活性化エネルギーはGal>Glc>Fru>Manの順で大きかった.HMFへの変換率は,滞留時間や温度に依存せず糖の種類によってほぼ一定になった.Fruが48%で最も高く,他の3種類は同程度の変換率であった.生成したHMFの腸管吸収速度の測定は来年度に継続して行うこととした.生成したHMFとクエン酸の亜臨界水中での合成は来年度に再び検討する.次に,糖脂肪酸エステルの無触媒合成を試みたところ,エリスリトールとオクタン酸から2または3種のエステルと思われる生成物がHPLCによって確認された.さらに,ペプチドであるアンジオテンシンIIと3種のジカルボン酸(コハク酸・りんご酸・酒石酸)とのエステル合成が100〜140℃の亜臨界水中で進行することをLC-MSを用いて確認した.ジカルボン酸の水酸基の和が少ないほど,アンジオテンシンIIとの縮合物の収率が高かった.また,アンジオテンシンII類縁ペプチドの大半もジカルボン酸と反応して対応する縮合物を与えることをLC-MSで確認した.
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Research Products
(1 results)