2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580098
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 幸敬 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70211878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 元啓 京都大学, 農学研究科, 助手 (60293916)
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Keywords | 亜臨界水 / 合成 / 無触媒反応 / ペプチド / ジカルボン酸 / 異性化反応 / 共役リノール酸 |
Research Abstract |
高温高圧下で液体状態を保った亜臨界水中では,水のイオン積が常温の水の時の1000倍程度も上昇し,種々の反応が無触媒的に進行する.この特長を活かした環境への負荷を軽減した食品加工プロセスの構築を目的として,亜臨界水中での食品成分の無触媒合成について検討を行った.本年度は,食品成分の合成反応として重要な反応である,異性化反応に着目した.リノール酸の異性体である共役リノール酸は,その生理的意義から近年注目されている.共役リノール酸は一般にエチレングリコール等の有機溶媒中に溶解したアルカリによって,リノール酸から合成される.この異性化反応が亜臨界水中でも進行することを確認した.0.1mLのリノール酸と2.0mLの蒸留水を耐圧ステンレス容器(5mL容)中に封入し,200〜260℃で24〜120時間維持した.本処理で生じた物質を,標準物質と比較し,2種類の共役リノール酸(cis-9, trans-11 CLAとtrans-10, cis-12CLA)が生成していることを確認した.200〜260℃の温度領域では処理時間が長いほど,また温度が高いほど異性体の転換率が大きくなった.しかし,その転換率は高々1%未満であった.亜臨界水処理に用いる水とリノール酸の比率は転換率に影響を与えなかった.また,いずれの条件でも,異性体の転換率がcis-9, trans-11 CLA/trans-10, cis-12CLA = 1.0/0.6と一定であることも明らかとなった.転換率は小さいが,水とリノール酸のみから無触媒的に共役リノール酸が生じることを確認したこの成果は,雑誌Japan J.Food Eng.で公表した.
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Research Products
(1 results)