2005 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン欠乏時のコレステロール代謝に及ぼす脂肪およびタンパク質の影響
Project/Area Number |
16580101
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
海老原 清 愛媛大学, 農学部, 教授 (90036492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 太郎 愛媛大学, 農学部, 講師 (80304658)
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Keywords | 卵巣摘出 / 血漿コレステロール濃度 / タンパク質 / 胆汁酸 / 肝臓mRNA発現量 / CYP7A1活性 / アミノ酸組成 |
Research Abstract |
タンパク質の種類、すなわちアミノ酸組成比による質が血漿コレステロール濃度に影響を及ぼすことは既に知られている。動物性タンパク質は植物性や魚タンパク質よりも血漿コレステロール濃度を上昇させる。本研究では卵巣摘出ラットを用い、エストロゲン欠乏誘導性高コレステロール血症に及ぼす食餌タンパク質の影響について検討した。 動物性タンパク質としてカゼインを、植物性タンパク質として小麦、大豆、ジャガイモ、米より調製したタンパク質を、魚タンパク質として鱈より調製したタンパク質を用いた。カゼインに比べ、大豆、じゃがいもおよび鱈タンパク質では血漿コレステロール濃度は低下したが、米および小麦タンパク質では低下しなかった。エストロゲン欠乏による血漿コレステロール濃度の上昇はCYP7A1活性の低下によるコレステロールから胆汁酸への異化の低下やLDL-受容体活性低下による血中から肝臓へのLDL-コレステロール取り込み低下によると考えられている。じゃがいもタンパク質では糞中胆汁酸排泄量が増加しており、胆汁酸排泄量の増加が血漿コレステロール濃度低下の主要因と考えられた。大豆タンパク質については、明確な要因を見出すことはできなかった。血漿コレステロール濃度の上昇にメチオニン含量、リジン/アルギニン比、メチオニン/グリシン比の増加が挙げられている。 カゼインに比べ小麦、米、大豆、じゃがいもタンパク質中のメチオニン含量は低いが、小麦、米、大豆、じゃがいもタンパク質では同程度であり、アミノ酸組織で大豆およびじゃがいもタンパク質のエストロゲン欠乏誘導性高コレステロール血症改善を説明できなかった。しかし、鱈タンパク質のメチオニン含量、リジン/アルギニン比、メチオニン/グリシン比はカゼインよりも低く、アミノ酸組成の関与が示唆された。LDL-受容体mRNA発現量はタンパク質の影響を受けなかった。エストロゲン欠乏誘導性高コレステロール血症にタンパク質の質が影響を与えることは明らかになったが、アミノ酸組成との問題についてはさらなる検討が必要である。
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