2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580108
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
細野 朗 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (70328706)
|
Keywords | Bifidobacterium菌体多糖 / IgA / パイエル板 / 腸間膜リンパ節 / 粘膜固有層 / IFN-γ / IL-6 |
Research Abstract |
プロバイオティクスとして生体への保健効果が期待されるBifidobacterium pseudocatenulatum 7041菌体には,その菌体成分にペプチドグリカンや高分子水溶性多糖を含んでいるが,経口摂取した際に免疫系に与える影響についてはその作用機序が明らかになっていない.本研究では,この菌体多糖が誘導する免疫修飾作用について明らかにするために,マウスに経口投与した際のこの菌体の生体内局在性を経時的に調べ,この菌体多糖がどのように免疫系細胞へ作用しているのかを解析した.Bifidobacterium菌体をあらかじめCFSEで蛍光標識してマウスに経口投与し,経時的にパイエル板(PP),腸間膜リンパ節(MLN),粘膜固有層(LP)の各腸管免疫系組織を採取し,その凍結切片を共焦点顕微鏡で観察した.その結果,経口投与1時間後のPP,18時間後のMLNにこの菌体の存在が観察され,このときCD11c陽性細胞(樹状細胞など)がこの菌体を取り込んでいることが明らかとなった.よって,経口投与したこの菌体はまずPPにおいて取り込まれ,循環帰巣経路を経てMLNに到達し,腸管免疫系に直接作用していることが示唆された.また,LPにおいて経口投与1時間後にこの菌体の存在が確認されたことから,腸管上皮細胞間のタイトジャンクションなどからLPに取り込まれた可能性も推察された.さらに,この菌体破砕物を1週間連続経口投与すると,パイエル板細胞においては感染防御において重要な抗体である総IgA産生能が亢進し,特にパイエル板CD4陽性T細胞がIL-6およびIFN-γのサイトカイン産生を高産生するように影響を受けることが明らかとなった.したがって,このBifidobacterium菌体多糖は経口投与後に腸管免疫系組織に到達して直接作用し,まず自然免疫系であるCD11c陽性細胞などによって取り込まれ,パイエル板においては獲得免疫系のT細胞応答を感作し,感染防御において重要なIgA産生を誘導するサイトカイン応答を活性化することが明らかとなった.
|
Research Products
(2 results)