2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580110
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
太田 徹 市立名寄短期大学, 教授 (30233133)
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Keywords | プロリン含有ペプチド / オピオイドペプチド / コレステロール低下作用 / 結合タンパク質 / 大豆グリシニン / 酵素合成 |
Research Abstract |
プロリンを含有する生理活性ペプチドはさまざまな機能をもつことが明らかになっており、その栄養価値の重要性が求められている。この一端を明らかにするために強いコレステロール低下作用をもつと考えられる大豆グリシニン由来のLeu-Pro-Tyr-Pro-Argに着目し、Aspergillus oryzae由来の酵素を用い、このペプチドのコレステロール低下作用並びに吸収機構について行い、以下の結果を得た。 (1)Aspergillus oryzae由来ジペプチジルアミノペプチダーゼIV(DPIV)を用い、Tyr-ProとArgからTyr-Pro-Argを合成し、次いでLeu-ProとTyr-Pro-Argから強いコレステロール低下作用を示すと考えられるLeu-Pro-Tyr-Pro-Argの合成を行ったところ、それぞれの反応において収率は31.2%、27.7%であった。 (2)Leu-Pro-Tyr-Pro-Argのコレステロール低下作用について4週齢Sprague-Dawley系ラット(初体重70-85g)を用い、基本飼料にAIN-93G組成に準拠し、ショ糖を糖質源としてコレステロール0.5%、コール酸ナトリウム0.25%を含む高コレステロール食を用い、Leu-Pro-Tyr-Pro-Argのコレステロール低下について検討したところ、有意なコレステロール低下作用が認められなかった。マウスによるLeu-Pro-Tyr-Pro-Argのコレステロール低下作用の結果と異なることから、動物種によって異なることが考えられた。 (3)ラットを用い、Leu-Pro-Tyr-Pro-Argを胃内に投与し、一定時間、門脈から血液を採取し、SMART Systemにて分析したところ、胃内に投与してから12.5〜20.0分で血清中に存在することが確認された。このことから、Leu-Pro-Tyr-Pro-Argは投与後、速やかに吸収され、血中に取り込まれたものと考えられた。 (4)Leu-Pro-Tyr-Pro-Argの吸収形態を検索するために小腸粘膜タンパク質とLeu-Pro-Tyr-Pro-Argとの結合をBIACOREにて検討したところ、結合タンパク質の存在を確認された。 以上のことからラットにおけるLeu-Pro-Tyr-Pro-Argのコレステロール低下作用については確認することはできなかったが、Leu-Pro-Tyr-Pro-Argが大豆グリシニンの消化物として確認されていることから、その後、小腸粘膜のタンパク質と結合し、速やかに血液中に出現し、作用を示すことが示唆している。
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