2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580110
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
太田 徹 市立名寄短期大学, 教授 (30233133)
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Keywords | プロリン含有ペプチド / オピオイドペプチド / コレステロール低下作用 / 結合タンパク質 / 酵素合成 / GKラット / ペプチドトランスポーター |
Research Abstract |
プロリンを含有する生理活性ペプチドはオピオイドアゴニストペプチド,オピオイドアンタゴニストペプチド,免疫賦活ペプチドなど自律調節機能をはじめさまざまな機能をもつことが示唆されている。しかし,その栄養価値については重要性が求められているにもかかわらず,その解明に至っていない。この一端を明らかにするために強いコレステロール低下作用をもつと考えられる大豆グリシニン由来のLeu-Pro-Tyr-Pro-Argに着目し,Aspergillus oryzae由来の酵素を用いた合成法を確立し,このペプチドのコレステロール低下作用並びに吸収機構の解明を目的に以下の結果を得た。 (1)Leu-Pro-Tyr-Pro-Argのコレステロール低下作用について,再度4週齢Sprague-Dawley系ラット(初体重70-85g)を用い、基本飼料にAIN-93G組成に準拠し、ショ糖を糖質源としてコレステロール0.5%、コール酸ナトリウム0.25%を含む高コレステロール食を用い、Leu-Pro-Tyr-Pro-Argのコレステロール低下について検討した。その結果,有意なコレステロール低下作用が認められなかった。 (2)Wistar系ラットおよびペプチドトランスポーター(PepT1)を発現していると考えられるGKラットを用い,Leu-Pro-Tyr-Pro-Argを経口投与し,一定時間,門脈から血液を採取した後,SMART Systemにてゲル濾過分析を行った。その結果,GKラットではWistar系ラットと比較し,経口投与後,顕著にLeu-Pro-Tyr-Pro-Argは血清中に存在することが示唆された。さらにGKラットからゲル濾過によって得た画分をLC-MS分析によって解析した結果,Leu-Pro-Tyr-Pro-Argであることを同定した。このことから、GKラットではWistar系ラットと比較し,Leu-Pro-Tyr-Pro-Argが投与後、速やかに吸収され、血中に取り込まれたことが判明した。 (4)Leu-Pro-Tyr-Pro-Argの吸収形態を検索するために小腸粘膜タンパク質とLeu-Pro-Tyr-Pro-Argとの結合をBIACOREにて検討したところ、Leu-Pro-Tyr-Pro-Argとの結合タンパク質の存在が示唆されたもののその再現性に課題が残されている。今後,さらに検討していく予定である。 以上のことからLeu-Pro-Tyr-Pro-Argのコレステロール低下作用については確認することはできていない。しかし,Leu-Pro-Tyr-Pro-Argの吸収についてはGKラットにおいて確認されている。このことからLeu-Pro-Tyr-Pro-Argはペプチドトランスポーターによって輸送されている可能性が高いことから,Wiatar系ラット及びGKラットの小腸粘膜タンパク質を解析することによりその吸収機構の解明が明らかになると考えられる。
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Research Products
(3 results)