2004 Fiscal Year Annual Research Report
里山管理様式が下層植物相・キノコ相に及ぼす影響とその化学生態学的機構の解明
Project/Area Number |
16580115
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 達明 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (40178322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 輝昌 千葉大学, 園芸学部, 助手 (20291297)
吹春 俊光 千葉県立中央博物館, 自然史歴史研究部, 上席研究員 (50250147)
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Keywords | 里山 / 二次林 / 下層植物相 / キノコ / 森林土壌 / 無機化特性 / 硝化特性 / 硝酸還元酵素活性 |
Research Abstract |
1.都市化が森林土壌に及ぼす影響を明らかにする目的で、多摩川上流から下流域にかけて調べた。都市化の進行に伴い、土壌の交換性塩基濃度が増加し、その結果として酸性が中和される傾向にあった。また、都市化の進行に伴う土壌微生物活性の低下と土壌の有機物濃度の増加も認められた。 2.様々な二次林施業を実施している狭山丘陵において(以下の研究も同様)、森林土壌の窒素無機化特性・硝化特性について調べ、pHが高く、腐植層も厚い黒ボク土壌が発達した谷頭凹地のササ下層優占区では、無機化速度が遅く、硝化率が高かった。褐色森林土が成立する、斜面のヒサカキ下層優占区では、比較的無機化速度が高く、同じく落葉樹下層優占区では、硝化率が低かった。 3.下層植物相調査の結果、全299箇所の下層植物相は7つのタイプに分類されたが、一次的区分は管理様式によってなされ、伐採区とそれ以外の放置区・下刈区に分けられた。それらの区分はさらに微地形によって、谷頭凹地と谷壁・頂部斜面に分割された。草本層植物種数は斜面伐採区で最も多く、アズマネザサが下層を優占する谷頭凹地放置区とヒサカキが下層を優占する斜面放置区で最も少なかった。 4.キノコ相調査を行った。32箇所のコドラートで94種のキノコが採取された。樹木との共生関係によって菌根菌と腐生菌に区分したところ、前者は斜面に多く、後者は谷頭凹地と斜面放置区に多かった。菌根菌キノコに対する森林管理の影響は明かではなかったが、菌根菌キノコと腐生菌キノコの発生は桔抗関係にあった。 5.樹木の葉の硝酸還元酵素活性(NRA)について調べた。その結果、黒ボク上に主として成立するクヌギ-コナラ群集構成種はNRAが高く、褐色森林土上に成立するクリ-コナラ群集構成種はNRAが低い傾向があった。アズマネザサのNRAは高く、硝化率が高い谷頭凹地で繁茂しやすいその性質の一因が裏付けられた。
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Research Products
(1 results)