2005 Fiscal Year Annual Research Report
里山管理様式が下層植物相・キノコ相に及ぼす影響とその化学生態学的機構の解明
Project/Area Number |
16580115
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 達明 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (40178322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 輝昌 千葉大学, 園芸学部, 助手 (20291297)
吹春 俊光 千葉県立中央博物館, 自然史歴史研究部, 上席研究員 (50250147)
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Keywords | 里山 / 二次林 / 菌根菌 / 腐生菌 / ササ / 窒素無機化 / 硝化 / 硝酸還元活性 |
Research Abstract |
1.都市化に伴って、土壌の酸度が中和され、有機物が増加している多摩川流域のクヌギ・コナラで構成された森林型緑地14カ所に調査区を設定し、表層土壌の微生物数、リグニン濃度、新鮮落葉の養分濃度を測定した。細菌数・放線菌数は下流域ほど、すなわち都市化が進行するほど増加しており、pHの上昇の影響を受けていた。しかし、糸状菌数には都市化の影響が見られなかった。 2.狭山丘陵において、里山二次林における植物生育条件の一つとして重要な土壌窒素条件について、その微地形との関係、管理作業の影響について調べた。頂部斜面の無機態窒素濃度はアンモニアの割合が高く、谷頭凹地では硝酸の割合が高く、谷壁斜面はその中間の状態にあった。窒素無機化活性の高いA層厚は、斜面で薄く、谷頭凹地で厚かった。谷頭凹地では硝化率が高かった。萌芽更新のための伐採区では、放置区に比べアンモニア、硝酸どちらの濃度も低かった。伐採区では無機化速度が減少していたが、硝化率は上昇していた。 3.狭山丘陵においてキノコの発生調査を行った。昨年と同様に、菌根菌の発生は斜面で多く、谷頭凹地で少なかった。斜面では下刈区でもっとも発生が多く、ついで放置区であり、伐採区は昨年に比べて1割程度に減少した。伐採区では菌根菌と共生しない先駆的な樹木の繁茂が進み、菌が衰退したと考えられる。腐生菌の発生は昨年、谷頭凹地で多かったが、今年は少なかった。斜面で腐生菌がもっとも多いのは放置区であり、ついで下刈り区、伐採区だった。 4.下刈り処理、下刈り+リター除去処理実験を、光条件の異なる二カ所のアズマネザサ群落に対して行い、アズマネザサの硝酸還元活性(NRA)とその土壌の硝酸態窒素濃度、アンモニア態窒素濃度の季節変化を測定した。下刈り区では違いがなかったが、下刈り+リター除去区では、アンモニア態および硝酸態窒素濃度の減少が見られた。NRAには違いが見られなかった。
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Research Products
(1 results)