2004 Fiscal Year Annual Research Report
アカネズミを生物指標として用いたダイオキシン汚染の影響評価
Project/Area Number |
16580119
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関島 恒夫 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (10300964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 敬雄 新潟大学, 工学部, 教授 (70134955)
梶原 秀夫 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70324001)
新村 末雄 新潟大学, 農学部, 教授 (00156027)
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Keywords | アカネズミ / AhR / ダイオキシン / 精子活性 / 精子数 |
Research Abstract |
1.ダイオキシン類の土壌蓄積濃度とアカネズミ肝臓中濃度の比較 ダイオキシン汚染が懸念される産業廃棄物処理場や非汚染地域としてのブナ原生林を含む7地点において、土壌およびアカネズミ肝臓中のダイオキシン蓄積量を、高分解能ガスクロマトグラフを用いて分析・定量した。その結果、土壌中ダイオキシン蓄積量が最も高い三和(焼却場跡地)では、4000pg-TEQ/g-lipidで最も高かったものの、佐潟(湖沼)あるいは長岡(産業廃棄物処分場)では、土壌中濃度が低いにも関わらず、肝臓中において比較的高濃度のダイオキシン蓄積が認められた。 2.アカネズミ肝臓中ダイオキシン濃度と生殖機能の比較 精子数および高活性精子の割合は、肝臓中濃度の高い佐潟や長岡で低下する傾向が認められた。三和はダイオキシン蓄積濃度が最も高かったにも関わらず、精子数・精子活性が高いという結果が得られた。奇形率は、ダイオキシン蓄積濃度の高い三和や長岡で高い傾向が認められた。 3.ダイオキシン受容体AhRの多型解析 アカネズミのmRNAからAhレセプターのクローニングを行い、蛋白質に翻訳されるオープンリーディングフレームの塩基配列を決定した。その結果、Ahレセプターのリガンド結合能に著しい影響を及ぼす375番目のアミノ酸はダイオキシン感受性の高いマウスC57BL/6J系統と相同でアラニンであり、このアミノ酸がバリンに置換したことにより低結合能を示すDBA/2J系統とは異なった。しかしながら、アカネズミAhレセプターの全長をみると、DBA/2J系統とほぼ同様のアミノ酸数であり、C57BL/6J系統にみられるような配列途中の塩基置換が終止コドンとなり、アミノ酸数が少なくなるという現象はみられなかった。また、アカネズミのAhレセプターは、転写活性領域に存在するCAGリピート数が他の齧歯類に比べ極端に多く、この現象が特異的な蛋白質構造を形成している可能性が示唆される。さらに特記すべき点として、今回クローニングを行ったサンプル数は1個体であったが、10塩基とCAGリピート数の異なる2通りの配列が同定された。10塩基のうち4塩基は3つのアミノ酸の置換に関与しており、CAGリピート数の違いはグルタミン数の違いを反映している。これらの結果はアカネズミAhレセプターに多型が存在することを示唆するものであるが、種特異的に起こった遺伝子重複による可能性もあり、今後さらにサンプル数を増加させ、検証していく必要がある。
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Research Products
(1 results)