2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本型SFMを指向した適応型人工林管理システム(AFMS)の構築
Project/Area Number |
16580120
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
芝 正己 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教授 (20144339)
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Keywords | 人工林 / 持続可能な森林管理 / 収穫配分モデル / GIS / シミュレーション / 公社造林 / 森林モザイク / 機能区分 |
Research Abstract |
本年度は、三重県宮川村の緑資源機構管理森林250haを対象に、森林生態系・水土保全機能も視野に入れた長伐期育成循環型人工林の収穫計画・配分モデルの基礎部分について検討した。すなわち、HARVESTとGISを援用して、伐採規整条件に相応した伐採箇所の自動判定・収穫量の推定、森林モザイク構造の時系列分析等を中心に議論した。当該森林のスギ・ヒノキは、その林齢が7-8齢級に集中しているため、最近の木材需要や材価、生産費の厳しい状況を反映して、伐期の延長やこれに伴う契約の見直し等の対策が講じられつつある。基礎データ作成には、津水源林整備事務所管内の事業地経営図・森林現況簿、DTM解析用として国土地理院の数値地図、カラー航空写真等を用いた。スギ、ヒノキの長伐期育成循環型施業、針広混交林分による森林のモザイク化を想定して、分期、樹種、許容伐期齢、目標伐採面積、伐区面積、伐採方式、シミュレーション期間等をパラメータとした12タイプのシミュレーションを行った。その結果、伐区の大きさ、伐採方式、許容伐採齢や目標伐採量等の諸条件に相応した伐採個所や量が的確に推定されこと、分期ごとの伐採強度を高めることで目標とする伐採面積確保が容易となり伐採面積分布の適正化が図られること、最終分期において法正的な林分構造に漸近すること等が考察された。一方、緑被期間や隣接林分へのバッファリング等の生態学的な条件を考慮した伐採規整のパラメータを組み込むことで、伐採面の分散と小面積化が図られ、現状の比較的単純な大面積パッチ優占の構造から大小様々な大きさのパッチからなる多様なモザイク状の森林空間が形成されることも認められた。造林地の立地条件や更新・保育技術に関する側面、林内路網や搬出方式に関する技術的側面、労働力やコストに関する側面等を本システムにどのように組み入れていくかが次年度の主要な研究課題である。
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Research Products
(4 results)