2005 Fiscal Year Annual Research Report
急速加熱法を応用した金属内包型ウッドナノカプセルの創製
Project/Area Number |
16580134
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
今村 祐嗣 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (70151686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 俊充 京都大学, 生存圏研究所, 講師 (10243099)
杉山 淳司 京都大学, 生存圏研究所, 助教授 (40183842)
田中 文男 京都大学, 生存圏研究所, 講師 (10109069)
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Keywords | 木質炭素化物 / 触媒黒鉛化 / 急速熱分解 / 昇温速度 / 高温加熱 / 不均一性 |
Research Abstract |
本年度は、金属内包型ウッドナノカプセルの創製のため、木質炭素化物の高結晶化を目的とし、「急速加熱法および触媒黒鉛化の相互作用を利用した木質炭化物の炭素構造の高結晶化」と「木材組織と木質炭素化物の炭素構造との関係」の2つのテーマとして研究を遂行した。 炭素構造の高結晶化については、高結晶化が見込まれる急速過熱法および、結晶構造形成の触媒となるFe、Ni、Coの添加を併用することで、その相互作用による高結晶化について検討した。触媒を少量添加した場合、急速加熱法では、通常の低速加熱法に比べ、急速熱分解法の方が10分の1程度の添加量で同等の触媒効果が得られることが示された。しかし、触媒を多量に投入すると、急速加熱法と通常の低速加熱法との炭化構造の違いは見られなくなった。これは、主反応であるラジカル反応が抑制されたことが原因と考えられる。今後、ラジカル反応を促進させる別の触媒等の検討が必要であることが確認された。 木材は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンの三つの構成成分からなる。それらは細胞壁内において不均一な分子構造および分布をもち、木質炭素化物の炭素構造の形成に大きな影響を及ぼすと考えられている。木質炭素化物は、700〜1800℃の加熱温度域で著しく発達するものの、細胞壁内部において炭素六角網面は均一に配向していた。その一方で細胞壁の内表面の表層部においては、高配向性積層構造が形成していた。これは、加熱処理中に発生した炭素低分子熱分解物が細胞壁の内表面の表層部に蒸着することによって形成したと考えられる。このことから、急速加熱法をさらに高温度域で応用することで、木質炭素化物の炭素構造をより高結晶化できると考えられる。
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Research Products
(4 results)