2004 Fiscal Year Annual Research Report
固定化酵素を用いたダイオキシン類、環境ホルモン、残留農薬の分解浄化法の開発研究
Project/Area Number |
16580136
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
橘 燦郎 愛媛大学, 農学部, 教授 (10112319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 和貴 愛媛大学, 農学部, 助教授 (50253323)
枝重 有祐 愛媛大学, 農学部, 助教授 (70353604)
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Keywords | 固定化酵素 / ダイオキシン分解菌 / バイオリアクター / ダイオキシン類 / コプラナーPCB / 汚染土壌 / DDT / DDD |
Research Abstract |
都市ゴミ焼却炉等から環境中に放出されたダイオキシン類や環境ホルモン等の環境汚染が大きな社会問題となっている。しかし、未だ実用的な除去法は見出されていない。本研究では、天然から選抜したダイオキシン分解菌から抽出した粗酵素を包括剤で固定化した固定化酵素および粗酵素自身を用いて、環境中に放出されたダイオキシン類、環境ホルモン、残留農薬に汚染された土壌などを分解浄化して、元のきれいな環境に修復する方法を研究開発することを試みた。 (1)ダイオキシン分解菌から抽出した粗酵素を固定化した固定化酵素によるダイオキシン類等の分解:粗酵素を包括剤で包括した固定化酵素を調製し、これを用いて土壌中の高濃度のダイオキシン類[(TCB(コプラナーPCBの一種、2,8-DCDD)およびダイオキシン汚染土壌中のダイオキシンを分解浄化する条件を見出した(各々30日処理、分解率約50%)。また、TCB汚染土壌を粗酵素で分解する時の条件も明らかにした(60日処理、分解率約30%)更に、ダイオキシン汚染土壌を粗酵素で分解浄化する条件も見出した(30日処理、約40%)。また、土壌中の環境ホルモン(DDD)を固定化酵素および粗酵素で分解できる条件も見出した(各々30日処理、分解率約15,30%)。更に、土壌中のリンダン、DDTなどの残留農薬も分解できる条件も明らかにした(各々30日処理、分解率約40,60%)。なお、DDD,DDE,リンダン,DDTの固定化酵素により短期間での分解条件についても検討中である。 (2)固定化酵素及び粗酵素を用いたバイオリアクターによるダイオキシン類等の分解:固定化酵素を用いたバイオリアクターにより、TCBを短期間(72時間)で分解浄化できる条件を見出すとともに(分解率約50%)、撹拌速度の調節により分解率は更に向上することも見出した(分解率約10〜20%向上)。また、固定化酵素によるTCBの分解メカニズムも明らかにした。ダイオキシン汚染土壌も短時間で分解できる条件も見出した(分解率約50%)。 (3)固定化酵素および粗酵素を用いた焼却灰中のダイオキシン類の分解:粗酵素により焼却灰中のダイオキシン類を約30%分解できることを明らかにした(24〜72時間処理)。なお、固定化酵素による焼却灰の分解については検討中である。 (4)固定化酵素の包括剤及び包括法の検討:粗酵素を包括剤(アルギン酸)で固定化したもの固定化酵素の安定性が高く、分解率も高かった。しかし、他の包括剤(κカラゲナン)で包括した固定化酵素は、ダイオキシン類を分解したが、分解率はアルギン酸の場合よりも低かった(アルギン酸の約30%)。他の包括剤について検討中である。
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Research Products
(5 results)