2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
良永 知義 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20345185)
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Keywords | Cryptocaryon irritans / 海産白点虫 / in vitro culture / 培養 / 魚類培養細胞 / 寄生虫 / 繊毛虫 / 海産魚 |
Research Abstract |
白点虫培養法の最適化を図るため、白点虫の餌とする培養細胞ならびに培地について検討した。すなわち、FTM,EPC,GFの3種の上皮性細胞株、L-15,MEM(HEPES添加),BEM(HEPES添加)の3種の細胞用培地を用いた組み合わせで、白点虫を軟アガロースゲル培養を行いその成長と生残を比較した。その結果、FTM細胞、L-15培地の組み合わせが最もよい成績を示した。 培養の効率化を目的に、軟アガロースゲル培地から効率的に虫体を回収する方法、シストから遊出したセロントの濃縮法、セロントの培地への接種時期を検討した。その結果、虫体回収法としては、ゲル下に滅菌海水を入れてゲルを海水上に浮かせピペットを用いて虫体を回収する手法、セロント濃縮法としては、マイクロスピン(6000rpm)を用いた短時間(10分間)の遠心での濃縮法が最も効率が高かった。また、培養にはできるだけ新鮮なセロントを用いることが重要であることが判明した。 また、培養系のスケールアップをはかり、これまでの6穴プレートに変えて、75-100cm^2のペトリディッシュや角型シャーレでの培養も可能となった。 以上の改良により、計算上、100虫体のセロントから出発して、200-300虫体のセロントを作成することができるまでになった。しかしながら、魚を全く使わずに培養系だけで虫体の維持培養にいたるまでには、さらに、いくつかの改良が必要である。また、培養系だけの維持培養は困難なものの、開発した培養系は、白点虫の生理・生態の解明、宿主-寄生体関係の解明、薬剤の開発などの研究に大きな貢献をすると期待される。
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