2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580157
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
井田 齊 北里大学, 水産学部, 教授 (90050533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝日田 卓 北里大学, 水産学部, 助教授 (00296427)
林崎 健一 北里大学, 水産学部, 講師 (80208636)
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Keywords | 霞ヶ浦水系 / 陸封アユ / ゴンペルツ成長曲線 / 鰓耙長 / 胃内容物 / 安定同位体 / 耳石 / マイクロサテライトDNA |
Research Abstract |
本年度は,霞ヶ浦水系のアユ集団に関して耳石日周輪を用いた成長解析,マイクロサテライトDNAを用いた遺伝的解析,胃内容物の分析による餌環境の評価,ならびに形態の他集団との比較を行った。また,安定同位体比を用いた餌の履歴の推定を検討した。まず,2000年級および2001年級の耳石日周輪からふ化日推定および成長の解析を行った。ふ化日は10月中旬から下旬がピークであった。霞ヶ浦水系アユは冬季に透明帯が形成されるのが特徴的であるが,この透明帯の形成時期は1月下旬から2月にかけてであることがわかった。成長曲線はゴンペルツ式がもっともよく適合した。透明帯がある個体ではその時期の日数と成長がわからないので,耳石および体長の平均的成長パタンからふ化日を推定する方法を開発した。現在結果の検証作業を行っている。アユの胃内容物観察から体長2cmを境に餌サイズと組成が変化し,この現象は摂餌方法の変化といった発育段階の変化と関連するものと考えられた。遺伝的な解析に関してはマイクロサテライトDNAで評価したところ,海系アユと大差がなかったが,PAL5遺伝子座では傾向が異なった。今後さらに多くの標本も解析に含める必要がある。安定同位体分析に関しては,霞ヶ浦湖内の若魚では窒素の安定同位体比率が高く,炭素の安定同位体比率は低かった。近隣河川の魚では窒素で低く,炭素で高くなっていた。この現象は,湖内では大型動物プランクトン食であり,河川に遡上した魚は付着藻類食であることとよく対応している。形態分析に関しては,過去にとられたデータを元に再解析を行った。現生の霞ヶ浦水系アユの鰓耙長が長いことが知られている。一方,1960年代の霞ヶ浦アユの鰓耙長も体長が小さいときから他集団より長く,現生アユとの関連が示唆された。
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