2004 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝類コラーゲンのサブユニット特異的低プロテアーゼ耐性の発現メカニズム
Project/Area Number |
16580170
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
水田 尚志 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (30254246)
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Keywords | コラーゲン / 二枚貝 / ホタテガイ / N末端アミノ酸配列 / 解繊 / 塩酸グアニジン |
Research Abstract |
コラーゲンの3重らせん領域はGly-X-Yというアミノ酸配列の繰り返しにより構造が保持され、通常のプロテアーゼに対し耐性を持つ。しかし、二枚貝類コラーゲンについてはペプシン処理によりα1成分の特異的減少が起こる。その機構を解明するために、本研究は一次構造を保持したコラーゲンの調製法の確立、およびそのN末端アミノ酸配列の解読を目的とした。 ホタテガイ外套膜を0.1M NaOHで抽出することによりアルカリ抽出残渣(RS-AL)を得た。RS-ALを解繊溶液(0.05M EDTA、0.5M NaClおよび0.2M 2-メルカプトエタノールを含む0.05M Tris-HCl緩衝液、pH8.0)で1週間処理した後、残渣を4M塩酸グアニジンで抽出して塩酸グアニジン可溶化コラーゲン(GSC)を調製した。その残渣について0.5M酢酸中でペプシンによる限定消化を行いペプシン可溶化コラーゲン(PSC)を調製した。対照として解繊処理を行わず、RS-ALから直接GSCおよびPSCを調製した。イワガキ、マガキ、インコガイおよびムラサキイガイ外套膜からもGSCを調製した。得られた数種の二枚貝類外套膜GSCをSDS-PAGEに供し、PVDF膜に転写後α1およびα2鎖のバンドを切り出し、プロテインシークエンサーによるN末端アミノ酸配列分析に供した。 解繊処理により塩酸グアニジン抽出におけるコラーゲンの可溶化率は7.5%から25.6%へと増加した。解繊処理により移動度はやや減少したが、GSCおよびPSCのSDS-PAGEパターンに大きな変化は生じなかった。このことより、解繊処理は一次構造を保持したコラーゲンの調製に有効であることが分かった。ホタテガイ外套膜GSCα1鎖およびα2鎖のN末端アミノ酸はそれぞれA-Y-R-Y-G-およびD-E-A-F-M-と解読され、他の二枚貝類外套膜GSCいずれについてもN末端アミノ酸配列を解読することができた。これらの結果は、二枚貝類外套膜コラーゲンのN末端アミノ酸がピログルタミル基などにより修飾されていないことを示唆するものである。
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