2005 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝類コラーゲンのサブユニット特異的低プロテアーゼ耐性の発現メカニズム
Project/Area Number |
16580170
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
水田 尚志 福井県立大学, 生物資源学部, 助教授 (30254246)
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Keywords | コラーゲン / 二枚貝 / ホタテガイ / マガキ / ムラサキイガイ / 解繊 / 塩酸グアニジン / ペプシン |
Research Abstract |
コラーゲンの3重らせん領域はGly-X-Yというアミノ酸配列の繰り返しにより構造が保持され、通常のプロテアーゼに対し耐性を持つ。しかし、二枚貝類コラーゲンについてはペプシン処理によりα1成分の特異的減少が起こる。つまり、α1成分においてプロテアーゼ感受性の領域が存在する可能性があるが、これに関する知見はほとんどない。その機構を解明するための基礎として、本研究では一次構造を保持したコラーゲンの調製法の確立を目的とした。 マガキおよびムラサキイガイ外套膜を0.1M NaOHで抽出することによりアルカリ抽出残渣(RS-AL)を得た。RS-ALを解繊溶液(0.05M EDTA、0,5M NaClおよび0.2M2-メルカプトエタノールを含む0.05MTris-HCl緩衝液、pH8.0)で1週間処理した後、残渣を4M塩酸グアニジンで抽出して塩酸グアニジン可溶化コラーゲン(GSC)画分を調製した。その残渣について0.5M酢酸中でペプシンによる限定消化を行い可溶化された画分をペプシン可溶化コラーゲン(PSC)画分とした。対照として解繊処理を行わずに、RS-ALから直接これらの画分を調製した。これらの画分に含まれるコラーゲンをWoessnerの方法により定量して、塩酸グアニジンおよびペプシンを用いたコラーゲンの抽出・可溶化に及ぼす解繊処理の影響を調べた。 塩酸グアニジン処理におけるコラーゲンの可溶化率は解繊処理によりマガキでは1.2%から6.3%へと増加したが、ムラサキイガイでは解繊処理の有無に関わらず3.7%であった。また、ペプシン処理におけるコラーゲンの可溶化率に関しては、解繊処理によりマガキでは42.9%から53.5%へと増加したが、ムラサキイガイでは33.7%から23.9%へと減少傾向を示した。いずれの種においても解繊処理により各構成サブユニットの移動度にやや変化が認められたものの、GSCおよびPSCのSDS-PAGEパターンに大きな変化は生じなかった、昨年のホタテガイに関する結果およびこれらの結果を総合すると、動物種によっては効果が低い場合があるものの、おおむね解繊処理は塩酸グアニジン可溶性コラーゲン(インタクトな一次構造を保持したコラーゲン)の収率を高める手段として有効であり、さらにペプシン可溶化コラーゲンの収率の増加にも寄与することが分かった。
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Research Products
(1 results)