2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580182
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大隈 満 愛媛大学, 農学部, 教授 (20335889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 淳 愛媛大学, 農学部, 助教授 (90229435)
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Keywords | 柑橘地帯 / 共同選果場 / 重層的主体間関係 / 集団的営農 / 農業協同組合 / 交換分合 |
Research Abstract |
本研究では、柑橘地帯における集団的営農として生産過程の集団化が歴史的にみて必ずしも成功していないことを踏まえ、販売体制を含めての産地編成を集団的営農として捉える必要があると考えて、まず第一に、愛媛県宇和島市吉田町及び八幡浜市の柑橘地帯における共同選果組織(共選)について、その機能を量確保機能、質確保機能、生産指導機能、情報収集機能、仕交的機能、分業機能、マーケティング機能、ブランド機能の8つに分類したうえで、共選が時代の変化に伴いそれぞれの機能をどう活かしてきたかを分析するとともに、現代の農家がこれらの機能をどう評価しているかを実証調査によって明らかにした。 その結果、量確保機能はいつの時代にも農家から一定の評価を受けていること、質確保機能は時代により量確保のための質の確保という考え方から差別化のための質重視へと変化していること、生産指導機能に対しては高い評価と期待が存在すること、情報収集機能に対しては期待と同時にその有効性について懸念も存在すること、社交的機能はこれに対する評価があまり見られないこと、分業機能は消極的な機能ではあるが高い評価が与えられていること、マーケティング機能は販売のためのマーケティングから「売れるものを作る」ためのマーケティングヘの性格の変化が求められていること、ブランド機能は地域差が大きく、新しくブランド化に努めている共選もあること等が明らかになった。 重層的主体間関係構築理論の視点からは、愛媛県における地域農業マネジメントセンターの例をとりあげ、ここでは行政とJAとの重層的な協力関係が見られることを検証したが、共選に対する重層的主体間関係構築理論の適用は今後の課題として残された。 研究分担者は、柑橘農業における集団的営農の一形態である「樹園地集団化」の意義と可能性について、樹園地の分散問題を中心に検討し、宇和島市吉田町における交換分合事業の効果と問題点を検証した。
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