2005 Fiscal Year Annual Research Report
「農業の工業化」下の大規模経営・メガファーム形成に関する米日比較研究
Project/Area Number |
16580183
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
磯田 宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00193392)
|
Keywords | アメリカ合衆国 / メガファーム / メガデイリー / 畑作大規模経営 / 稲作大規模経営 / 精密農業 |
Research Abstract |
平成17年度の「研究の目的」と「研究実施計画」,ならびに農業構造政策の展開状況をふまえて,今年度の研究を以下のように実施した。 第一に米国の現地調査研究について,カリフォルニア州の中部において超大規模酪農の経営実態調査を行なった。その結果,(1)ドライロット型のフリーストールとTMR給餌法,および子牛保育・育成を外部化するシステムを加えた技術的特質を持つこと,(2)カリフォルニア州のドライロット型酪農は,現ロサンゼルス市街地拡張等にともなって都市近郊酪農が周縁地域に移転を繰り返す過程で形成されたという地域独自性を持ち,中西部等の牧草地利用型酪農とは形成の系譜を異にすること,(3)現在,経産牛頭数3,000〜5,000頭規模という到達点に立ちつつ,乳価変動に対する脆弱性や地域の環境・土地利用規制によって新規参入が制限されているなどの問題も含むことが判明した。 またカンザス州において前年度調査の補足として,大規模小麦農場における精密農業技術の具体的応用形態とその経済的性格・収益性について明らかにした。またそのような穀作メガファームでも生産物の高付加価値化に取り組まざるを得ない現実があることから,それら農場がメンバーとなって創設・運営されている新世代農協型の小麦加工事業体の実態についても把握した。 第二に国内の現地調査研究については,南九州畑作地帯における大規模経営の形成,および農業構造政策の新しい展開をふまえて北九州水田地帯における大規模水稲作経営の存立条件・コスト調査を行なった。その結果,(1)鹿児島県薩摩半島南部では農家出自の大規模畑作(甘藷・野菜)経営が形成されているがその面積規模は15ha程度までで法人化経営も少数であること,それらの点で同県北部の大隅地区や宮崎県南部の畑作大規模経営とは展開形態を異にすることを明らかにした。(2)福岡県北西部には経営面積20ha超の圃場をわずか3団地程度に集積する高度に効率的な稲作経営が成立しており,その米生産費は60kg当たり約1万円にまで低下していること等を分析した。 平成16年度,17年度の調査研究結果を取りまとめて研究成果報告書を作成した。
|
Research Products
(2 results)