2006 Fiscal Year Annual Research Report
政策評価マトリックス(PEM)分析によるFTAの影響評価に関する計量経済学的研究
Project/Area Number |
16580190
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
小林 弘明 和光大学, 経済経営学部, 教授 (70329019)
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Keywords | WTO交渉 / FTA交渉 / コメ経済 / 農産物貿易 |
Research Abstract |
WTOにおける農業交渉が紛糾する中、二国間ないし複数国間で自由貿易地域(FTA)を形成する動きが活発化している。農産物が、センシティブな部門として交渉における焦点となり、貿易自由化がもたらす影響を評価することが急務となっている。しかし、実際に締結されつつあるFTA・EPAでは、特に重要とされる農産物がセンシティブ品目として自由化の増外におかれ、関税割当と実質的に同じ制度が、相手国を限定して採用されるケースが多い。 本研究の目的は、研究代表者がわが国農業諸施策を評価するために適用を試みている政策評価マトリックス(PEM)と呼ばれる分析ツールによる定量的な影響評価にある。FTAの影響評価分析においては、GTAPと呼ばれる一般均衡モデルが多用されているが、各種の農業諸施策は「関税相当量」という一変数に集約され、特定国のみに対する関税の変更による影響の評価が恣意的となる、品目分類が粗い、などの方法論上の問題がある。 平成18年度においては、TRQの影響を定量的に把握する従来の分析モデルの問題点を改善する新たな分析枠組みの構築を図った。考察の結果、TRQの影響は、枠内税率の輸入割り当てがいかなる制度的枠組みよって行われるかが決定的な役割を果たし、かりにわが国で見られる国家貿易によらない自由参加形式の割り当てが行われる場合には、従来の分析枠組みでは輸入量が皆無と予測された比較的高い2次税率のもとでも一定程度の輸入が行われる可能性のあることを明らかにした。具体例に基づく数量的な評価については、現在も研究を継続している。また、諸外国におけるFTAないし地域貿易協定における差別的な関税の適用による農産物市場への影響評価として、タイの砂糖およびコメ政策、およびEUのバイオエネルギー政策の展開について、現状の調査・分析を行った。
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Research Products
(2 results)