2004 Fiscal Year Annual Research Report
地上徘徊性生物を指標とした都市及び農村緑地の保全と管理に関する研究
Project/Area Number |
16580202
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
勝野 武彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20060014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葉山 嘉一 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (00139049)
大澤 啓志 日本文理大学, 工学部, 講師 (20369135)
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Keywords | 都市緑地 / 農村緑地 / ネズミ類 / カエル類 / 谷戸 / 棚田 / 緑地管理 / 草地管理 |
Research Abstract |
本研究は都市及び農村緑地に生息する地上徘徊性の生物群集(特にネズミ類・カエル類)の生息動態把握と、緑地の構成要素を定量・定性的に解析することにより、生物多様性を保全し、自然環境との調和を基調とした緑地管理計画の確立を目指した技術・計画論を提示するものである。今年度は研究実施計画に沿って現地調査を行い、以下の結果が得られたので報告する。 1、多摩丘陵南西部の谷戸(横浜市緑区)に生息するネズミ類について、その種構成・分布状況と樹林管理・土地利用形態との対応関係について把握した。4種のネズミ類の生息が確認され、種毎により生息地として要求する土地利用形態及び谷戸間での移動能に差が認められた。谷戸の持つ多様な景観構造がネズミ相の維持に作用し、さらなる保全には各谷戸においてネズミ類が生息可能な土地利用形態維持の必要性が示唆された。 2、多摩丘陵北部の谷戸(東京都町田市)において、カヤネズミの球巣確認調査を実施した。営巣植物の構成種はヨシ、オギ、サヤヌカグサ、クサヨシ等と多様であり、特にオギの伸長と球巣の地上高には高い相関が見られた。以上の結果は谷戸管理の一環である草刈り時期との関連が考えられ、本種が指向する営巣植物とその伸長を保全する草地管理を実施することにより、繁殖に伴う移動・分散を誘導できる可能性が推察された。 3、山腹棚田域(千葉県鴨川市)において、両生類の生息利用実態調査を行った。草原性種のニホンアカガエルの卵塊数が2003年約400個、2004年約1,000個、2005年約500個、樹林性種のトウキョウサンショウウオは2003年約780対、2004年約300対、2005年約200対であった。トウキョウサンショウウオは近接樹林から最大80m程度まで草原域としての棚田への侵入が確認され、樹林-草原の複合系である農村空間の生物利用的側面からの重要性が示された。
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Research Products
(2 results)