2004 Fiscal Year Annual Research Report
分光計測とグラニエ法を併用したカンキツの水分ストレス診断技術の開発
Project/Area Number |
16580205
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 晴彦 山口大学, 農学部, 教授 (40263800)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 恭一 九州大学, 大学院・農学研究院・森林資源科学部門, 助教授 (80183763)
宮本 久美 和歌山県農林水産総合技術センター, 果樹試験場・栽培部, 主任研究員
森永 邦久 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 近畿中国四国農業研究センター・総合研究部・総合研究第2チーム, チーム長
|
Keywords | 分光計測 / グラニエ法 / カンキツ / 水分ストレス / 近赤外光 / 蒸散流 / 樹冠葉面積指数 / デジタル画像 |
Research Abstract |
本研究では,高糖系温州のマルチ栽培において,連年安定・高品質果実生産を実現するため,樹体・土壌水分環境と樹体光環境を迅速に計測するシステムを開発し,両環境の制御により水分ストレスを抑制して,好適な光環境下で高品質果実生産を実現できる技術を構築することを目的として研究を実施した。土壌水分および樹体水分の計測法の開発においては,市販されているセンサを用いて炉乾燥法と併用して安価で迅速に計測できるセンサを選定した。カンキツは1個体の樹冠葉面積を計測するには,投影法が用いられるが労力と時間が必要である。PCA(プラント・キャノピー・アナライザー)のほぼ10分の1の十数万円の魚眼レンズ付きデジタルカメラを用いて,樹冠葉面積指数を高精度かつ非接触・非破壊で推定可能な技術を開発した。最新の樹木蒸散流の計測手法であるグラニエ法を用いて,白色マルチ栽培下における土壌水分およびカンキツ樹体の蒸散流計測を試みた。樹木蒸散流の測定は,グラニエ法を応用したThermal Dissipation Probe (T.D.P)を用いている。T.D.Pは熱放散センサであり,樹木の液材に埋め込まれたラインヒートソースの温度を測定するもので,蒸散流とともに上昇する液材の熱放散およびヒートソースの冷却度合いを測定しており,蒸散流速度がゼロもしくはゼロ近くになると2つのセンサ間の温度差は最大になり,蒸散流量が増加すると温度差は小さくなる。蒸散流速度は日の出後約1時間頃から高まりはじめ,日射量に追随して推移しており,日射量に大きく依存する傾向を示した。また,マルチ区の樹体は白色シートマルチにより降雨が遮断され土壌が乾燥して樹体が乾燥ストレスを受けたことにより,蒸散流速度が低下していた。この結果,グラニエ法を用いて温度差を測定することで,カンキツ樹体の蒸散流を連続かつ自動的に計測が可能であることが明らかになった。
|
Research Products
(3 results)