2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580218
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
花田 正明 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (70250537)
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Keywords | 共役リノール酸 / 脂肪酸組成 / 乳 / 放牧 / 変動要因 |
Research Abstract |
放牧飼養させた乳牛の乳中脂肪酸組成に及ぼす影響を、抗ガン作用を有する機能性を有する共役リノール酸(CLA : C18:2cis9・trans11)などを中心に検討した。昼夜放牧、昼間放牧および混合飼料のみを給与した非放牧条件で飼養された牛群において給与飼料(牧草・混合飼料)および乳中の脂肪酸組成を4月から12月まで1ヶ月ごとに調べた。その結果、牧草および混合飼料の脂肪酸組成の季節変動は小さく、牧草ではリノレン酸(C18:3)の割合が65%以上と多く、混合飼料はリノール酸(C18:2)・オレイン酸(C18:1)・パルミチン酸(C16:0)で脂肪酸割合の80%を占めていた。乳の脂肪酸組成は、C16:0、C18:1、ミリスチン酸(C14:0)などの主要な脂肪酸は、飼養方法や季節の違いによる差は認められなかったが、放牧期間中(5月から10月)のCLA割合は昼夜放牧>昼間放牧>非放牧の順になり、乳中のCLA割合は昼夜放牧、昼間放牧および非放牧でそれぞれ1.5mol%、1.0mol%、0.5mol%であった。このように放牧飼養させることによりCLA割合が増加することが確認できたが、放牧期間における乳中のCLA割合は6月にピークに達した後、以降、漸減する傾向を示した。牧草の脂肪酸組成や脂質含量の季節変動が少なかったことや、放牧への依存割合が高まるに連れて乳中のCLA割合が高まったことから、放牧期間における乳中のCLAの変動割合は、牧草摂取量と関連が高いと推察された。一方、乳中のCLA源は反芻胃内で合成されるCLAと乳腺内でバクセン酸から合成されるCLAの2経路がある。そこで十二指腸フィステルを装着させた乳牛に生草を給与し十二指腸内容物の脂肪酸組成を調べた結果、C18:3が反芻胃内で水素添加を受けて生成されたバクセン酸に比べCLAの十二指腸移行量は極わずかであり、バクセン酸が乳中CLAの主要な合成源であると推察された。
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