Research Abstract |
空間的に不均一な植生に対する放牧家畜の採餌戦略を解明するために,以下の3つの実験を実施した。 1.再成長期間の異なるパッチの選択 バヒアグラス-シバ草地草地に,再成長期間の異なる4つのパッチを創出し,放牧牛によるパッチ選択について調査した。パッチに対する好みは,乾物摂取速度,乾物消化率および粗タンパク質含量の最小値,もしくは,乾物摂取速度および乾物消化率の最小値で説明することができた。すなわち,牛はパッチの価値を乾物摂取速度と採食草の質の双方から評価し,そのいずれか一方でも低いと選択を制限したことが分かった。 2.フィーディングサイトの選択 面積,植生,水飲場からの距離,庇陰などの条件が異なる4つの場所(バヒアグラス草地(BG),低草量センチピードグラス草地(CGL),高草量センチピードグラス草地(CGH),通路)から成る試験区に放牧される牛群について,採食時における場所選択を調査した。1日ベースでは,牛群は,BG草地をニュートラルに選ぶか避け,通路をほとんどの場合避け,CGL草地をニュートラルに選ぶか避け,CGH草地をほとんど常に好み,草高や草量が高い場所ほど選択性が高かった。この結果は,より小さな空間スケール(フィーディングステーションや小パッチ)での餌選択が植生の量的,質的要因の両方に基づくこととは異なっていた。 3.バイトスケールの摂取行動 センチピードグラス草地およびバヒアグラス草地を採食する牛におけるバイトスケールの摂取行動を調査した。バイト面積,バイト深,バイト重および乾物摂取速度は,草高,草量および葉量の増加にともなって直角双曲線的に増加し,バヒアグラス草地よりもセンチピードグラス草地においてより低い草高,草量および葉量で頭打ちになった。バイト速度は,植生の量的特徴と有意な負の相関がある場合があった。いくつかの摂取行動変数は,草量や草高から高い精度で推定できた。
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