2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580239
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北川 浩 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40125307)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 晃 神戸大学, 農学部, 教授 (50031224)
|
Keywords | 常在細菌 / 消化管 / 生体防御 / 定着 / アポトーシス / M細胞 / レクチン / 糖鎖 |
Research Abstract |
ラットを実験モデルとし,消化管内における常在細菌の定着機構を明らかにするための研究を行った結果は以下の通りである。 1.前年度に常在細菌の定着と粘膜リンパ小節濾胞被蓋上皮(FAE)中のM細胞の分化との関係を明らかにしたことに引き続き,今年度はさらに消化管全長における常在細菌の接着部位がアポトーシス後期の上皮細胞が集積する部位であることを明らかにするとともに,この部位を起点として常在細菌が粘膜の深部に向かって増殖し,ある深度に達するとFAE上に到達してモニタリングされることを明らかにした。 2.FAEや腸絨毛におけるTLR-4及びTLR-9の発現とM細胞の分化との関係について調べることを目的として,すべての抗体による交差反応等の非特異的反応を完全に除去し,かつ複数の抗体を用いて免疫組織化学を試みた結果,従来報告されてきたような腸陰窩上皮細胞での発現をみとめなかった。従って所期の成果が得られておらず,現在さらに詳細に検討中である。 3.腸管における常在細菌の増殖の制御機構を明らかにする一環として,常在細菌の定着程度と粘膜上皮細胞の細胞寿命や移動速度との関係がどのように変化するのかについてBrdUをトレーサとして調べた。その結果,常在細菌が急激に増数する回腸遠位と他小腸との間における細胞寿命には大きな差異が無かったが,上皮細胞の移動速度,すなわち上皮細胞の脱落速度が回腸遠位では極端に遅くなった。このことから,従来常在細菌の排除のために上皮細胞の細胞交代を早くするとされてきたが,本研究では逆に細胞交代を遅くして常在細菌の定着を促している可能性を明らかにした。 これらの成果については今年中に学会発表を終え,論文投稿をする予定である。
|
Research Products
(3 results)