2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580239
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北川 浩 神戸大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (40125307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 晃 神戸大学, 農学部, 教授 (50031224)
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Keywords | 常在細菌 / 消化管 / 生体防御 / 定着 / アポトーシス / M細胞 / レクチン / 糖鎖 |
Research Abstract |
ラットを実験モデルとし,消化管内における常在細菌の定着機構を明らかにするための基礎的な研究を行った結果は以下の通りである。 小腸における常在細菌の基本的な定着部位はアポトーシス後期の上皮細胞が集結する腸絨毛の先端であることを一昨年度に明らかにしたが,同時にアポトーシス後期の上皮細胞からは特異抗体依存性に腸管内腔の高分子抗原や粒子状抗原が取り込まれ,直接毛細血管へ入り,門脈を介して全身循環へ運ばれることを申請者らは明らかにしてきた。従来有窓性毛細血管からは粒子状物は入らないことが定説とされてきたが,一方では,鳥類や哺乳類を通じて腸管内腔の常在細菌が門脈血中を流れるという報告も複数なされてきている。そこで,この常在細菌吸収のメカニズムを探る基礎的な知見を得るために,腸絨毛の毛細血管が他部位の毛細血管とは異なる性質を有することを明らかにすることを目的として,従来腸上皮で合成された乳ビ球がリンパ管から吸収され,毛細血管からは吸収されないという定説について透過型電子顕微鏡下で計量組織学的に再検討した。その結果,直径76nm以下の乳ビ球が直接上皮直下の毛細血管から吸収されて肝門脈系へ運ばれることを証明することができた。このことから,腸絨毛の毛細血管から全身への細菌を含めた粒子状物のパーソープションの可能性を提唱することができた。この成果については,近日中に学会発表するとともに,論文公表をする予定である。 また,前年度に引き続き,パイエル板におけるTLR-4及びTLR-9の発現とM細胞の分化との関係を免疫組織化学的に調べたが,この関係を示唆する有意な所見は得られなかった。 平成16年度および17年度に明らかにした主要な研究成果について論文公表をおこなった。
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Research Products
(5 results)