ニワトリの成長及び消化管運動におよぼすグレリンの生理的役割に関する研究

2004 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 16580245
• Research Institution: Rakuno Gakuen University
• Principal Investigator: 北澤 多喜雄 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (50146338)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 翁長 武紀 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (90224261) ; 岩野 英知 酪農学園大学, 獣医学部, 講師 (60382488)
• Keywords: ghrelin / ニワトリ / 消化管運動 / food intake / ghrelin受容体 / GHRP-6 / 脳室内適用

Research Abstract

Ghrelin(rat)及びgrowth hormone releasing peptide-6(GHRP-6)のニワトリ消化管運動(in vitro)及びニワトリfood intake(in vivo)に及ぼす影響を観察した。
【In vitro】Ghrelinは、1nM-1μMの濃度範囲で腺胃のtonus, carbachol及び電気刺激誘発性収縮には影響を与えなかった。Ghrelinの作用は、回腸の条片においても認められなかった。一方、GHRP-6は1μMでは腺胃平滑筋に何の作用も示さなかったが、10-100μMでは一過性の収縮を誘起した。この反応にghrelin受容体が関与しているのか否かを明らかにするためにD-Ly3-GHRP-6の作用を解析したが、この物質においても同様な濃度範囲で一過性の収縮が認められた。Carbachol及び電気刺激誘発性収縮は10μMのGHRP-6存在下でも影響を受けなかった。回腸においてもGHRP-6は著明な機械的反応を誘起しなかったが(<1μM)、高濃度では弛緩作用が認められた。回腸での電気刺激誘発性収縮はGHRP-6により増加する傾向にあり、この成績は回腸においてGHRP-6が神経-腸平滑筋伝達を調節している可能性示唆した。Chicken ghrelinは、100 nM-1μMの濃度範囲で腺胃平滑筋に一過性の収縮を誘起した(直接作用)が、回腸では収縮反応は認められなかった。Chicken ghrelinの作用は解析を始めたばかりなので、今後更にdataを蓄積するとともに哺乳類ghrelinとの差を明らかにしていくことが必要である。Chicken ghrelinは、腺胃及び小腸の腺部で発現しているのがin situ hybridizationにより確認された。成長または発生過程での変化に興味がもたれる。
【In vivo】GHRP-6の脳室内適用によりghrelinと同様なfood intakeの抑制が認められた(短期間での摂食)。オクタン酸のないdes-acyl-ghrelinによってはfood intakeに対する作用は発現しなかった。Ghrelin受容体のantagonistであるD-Ly3-GHRP-6は、それ自身で多少food intakeを抑制するもののGHRP-6のfood intake抑制作用を減弱させる傾向があった。消化管食物残渣を指標にした検討ではghrelin, GHRP-6の消化管運動に与える影響は認められなかった。今後、末梢へのghrelin適用でfood intakeがどのように変化するのかを解析していく必要がある。