2007 Fiscal Year Annual Research Report
オペラント行動を利用したヒヨコの視覚神経回路の意味づけ
Project/Area Number |
16580249
|
Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
内藤 順平 Teikyo University of Science & Technology, 生命環境学部, 教授 (30048467)
|
Keywords | 鳥類 / ヒヨコ / 視覚 / 網膜 / 神経節細胞 / オペラント行動 / 色覚 / 視蓋 |
Research Abstract |
今年度は、オペラント行動を利用して、ヒヨコの視覚弁別能力を測ることと、視覚機能に深く関わる網膜神経節細胞の構造とその投射先である視蓋F層について調べた。ペダル押しによるオペラント行動はヒヨコでも可能なことはこれまでの実験で明らかである。そこで、オペラント行動による色の弁別能力をより明確にすべく、装置を改良し、行動を強化するための正の手がかりレバーの他に、実験を開始するスタートレバーを加え、かつ、手がかりレバーも最初は見えない状態にして実験系をより適切なものとした。その結果、予め刷り込ませておいた正の手がかりとなる色とエサとの関係よりも、実験の際のレバーの位置とエサの関係によりこだわる傾向があることが明らかになった。これは我々のオペラント行動によらない色エサ選択実験の結果(色に関係なく、最初に啄ませたエサの色に強い好みを示す)と符合せず、予期しない結果となった。その説明として、鳥類は後天的な色の刷り込みよりも、生得的に空間内の位置情報により強く惹かれるのではないかと思われる。従って、色についての、恐らくそれ以外でも、オペラント行動による視覚機能の解析には、ヒヨコが位置情報を全く利用できない実験方法を考える必要がある。今後も継続して調べる。視蓋の特定層に投射する網膜神経節細胞の樹状突起の詳細な形態解析は極めて困難な問題であるが、DiIの逆行性軸索標識とアセチルコリン受容体抗体による蛍光二重標識の結果、視蓋F層に特異的に投射する網膜節細胞はグループIIc、IIIs、IVcの神経節細胞が認められた。この内、グループIVcのほとんどが視蓋F層へ投射していることが強く示唆され、F層が視野内を動く物体の検出、時間分解能に関する情報処理の責任層となっている可能性が示された。
|
Research Products
(2 results)