2006 Fiscal Year Annual Research Report
FIV感染による免疫不全時の慢性炎症をラクトフェリンは改善するか
Project/Area Number |
16580261
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 れえ子 岩手大学, 農学部, 教授 (80142892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 善久 岩手大学, 農学部, 教授 (40003785)
安田 準 岩手大学, 農学部, 教授 (20142705)
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10193559)
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Keywords | ラクトフェリン / ネコ免疫不全ウイルス(FIV) / 免疫不全 / 慢性炎症 / ネコ / リンパ球幼若化能 / インターフェロンγ / サイトカイン |
Research Abstract |
1)ConAおよびウシラクトフェリンがネコ末梢血単核球におけるサイトカインmRNAの発現に及ぼす影響 分離したFIV陰性ネコ末梢血単核球にConAを添加後、0、4、24および48時間培養し、IFN-γ、IL-1β、TNF-αおよびIL-12p40mRNAの発現を半定量的RT-PCR法にて測定した。ConA刺激4時間後に初めてIFN-γmRNAの強い発現の誘導が認められた。一方、IL-1β、TNF-αおよびIL-12 p40 mRNAは、未刺激の細胞でもすでに発現していたが、ConAによってさらに発現が誘導されることはなかった。FIV陰性および陽性ネコ末梢血単核球にウシラクトフェリンをConA刺激の30分前に添加し、4時間培養したところ、ウシラクトフェリンはConA誘導IFN-γ mRNAの発現を著しく抑制した。さらに、ウシラクトフェリンはIFN-γ mRNA以外のサイトカインの発現には何も影響を与えなかった。これらの所見から、IFN-γ mRNAがConAによって誘導され、このConA誘導IFN-γ mRNAの発現が、ウシラクトフェリンの前処理によって完全に抑制されることが示された。 2)リアルタイムRT-PCR法によるネコ末梢血単核球におけるConA誘導IFN-γ mRNAの発現の測定 次に、上述の半定量的RT-PcRの結果を確かめるために、conA誘導IFN胃mRNAの発現の定量を行うリアルタイムRT-PCR法を確立した。FIV陰性ネコ群において、IFN-γ 発現のベースレベルは5.6x10^<-10>〜3,5x10^<-4>と個体により異なったが、ConA刺激によるIFN-γの発現誘導は全ての個体の末梢血単核球において観察され、その発現量は100〜10000倍に増加していた。 3)ConA刺激後のウシラクトフェリン添加がネコ末梢血単核球におけるIFN-γ mRNAの発現へ及ぼす影響 ConA刺激後のさまざまな時間にウシラクトフェリンを末梢血単核球へ添加し、IFN-γの発現を検索した。その結果、ウシラクトフェリン添加は、ConA刺激30分前だけでなく、刺激後10、20、40分でも末梢血単核球におけるConA誘導IFN-γの発現を著しく抑制することが明らかとなった. 4)ConA誘導IFN-γ mRNAの発現に対する末梢血単核球の細胞内シグナル伝達経路の関与 ConA誘導IFN-γ mRNAの発現には、PTKおよびERKシグナル伝達経路の活性化が必要であることが示され、40分までにはそのシグナル伝達が完了していることが明らかとなった。加えて、ConA誘導IFN-γ mRNAの発現は、SAPK/JNKあるいはp38シグナル伝達経路を介していないことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)