2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウシの脂肪肝におけるアポトーシスの誘導に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16580266
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
及川 伸 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (40295895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 大二 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (40168828)
竹花 一成 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (80137413)
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Keywords | アポトーシス / 実験的脂肪肝 / 乳牛 / 絶食 / コメット法 |
Research Abstract |
ウシの脂肪肝は、各種の周産期疾病における主要な病態であり、その発生に密接に関連していると言われている。そこで今回、実験的脂肪肝モデルを用いて、肝臓の脂肪化に伴う肝細胞のDNA損傷の解析を行うとともに、併せて組織学的分析を行いアポトーシスの誘を評価した。 供試牛として臨床的に健康な乾乳期のホルスタイン種成雌ウシ5頭を使用した。全試験期間は12日間とし、絶食を4日間行い、その後6日間再給餌した。採血および肝臓のバイオプシーは定期的に行った。血中の遊離脂肪酸(FFA)、β-ヒドロキシ酪酸(BHB)および肝中トリグリセリド(TG)含量を測定した。肝細胞のDNA損傷分析にはコメット法を用いた。また、肝中の形態学的分析として、アポトーシス実行経路の一酵素である活性型caspase3に対する抗体と1本鎖DNA(ssDNA)を検出するssDNA抗体による免疫染色を行い、透過型電子顕微鏡による形態変化も観察した。 1.4日間の絶食により血清中のFFAおよびBHB濃度の著明な上昇が見られた。また、肝中TG含量が明らかに増加し脂肪肝が誘導された。 2.コメット法による分析では、肝臓の脂肪化に伴い、肝細胞DNAの断片化を反映するテールモーメント値が著増した。さらに、活性型caspase3およびssDNA抗体免疫染色においても、肝細胞が明らかに陽性反応を示し、アポトーシスの誘導が示唆された。加えて、電顕による検索ではアポトーシス小体も確認された。 以上より、実験的脂肪肝牛の肝細胞において初めてアポトーシスの誘導が示された。脂肪肝におけるアポトーシスの誘導の要因として、TNF-αやミトコンドリア障害によるチトクロームcの関与が考えられた。今後は、アポトーシスのトリガーの解明を進めたいと考えている。
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Research Products
(2 results)