2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウシの脂肪肝におけるアポトーシスの誘導に関する基礎的研究
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16580266
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Research Institution | RAKUNO GAKUEN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
及川 伸 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (40295895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 大二 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (40168828)
竹花 一成 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (80137413)
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Keywords | アポトーシス / 実験的脂肪肝 / 乳牛 / 絶食 / コメット法 |
Research Abstract |
昨年度実施された実験的脂肪肝牛の肝臓において、肝細胞がアポトーシスを起こしていることが明らかになった。そこで今年度は、肝の脂肪化が問題となる分娩前後において肝細胞のアポトーシスの誘導に関して評価することを企図した。 供試牛として健康な乾乳期のホルスタイン種牛4頭(2.4±0.6歳)を使用した。採血と肝の生検は分娩前(25〜12日)、分娩3日後そして分娩21日後に実施された。ボディーコンディションスコア(BCS)と血中の遊離脂肪酸(FFA)およびβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)濃度ならびに肝中中性脂肪(TG)含量を測定した。肝細胞のDNA損傷分析にはコメット法を用いた。また、活性型caspase3抗体と1本鎖DNA(ssDNA)抗体を用いて免疫組織学的分析を行い、さらに透過型電顕による形態観察も実施した。 1.分娩前のBCS(3.44±0.24)は分娩21日(2.88±0.14)にかけて漸次減少した。 2.血中FFAとBHB濃度は分娩後高値で推移した。 3.分娩後3日と21日の肝中TG含量は、分娩前のそれと比較して2倍以上に増加した(脂肪肝)。 4.コメット法による分析では、細胞DNAの断片化を反映するテールモーメント値が分娩後3から21日にかけて漸増した。さらに、活性型caspase3およびssDNA抗体による免疫染色においても肝細胞が明らかに陽性を示し、アポトーシスが確認された。また、電顕検索でもアポトーシス小体を検出できた。 5.肝臓TG含量とテールモーメントの間に有意な正の相関(r=0.68)が認められた。 今回示された肝細胞のアポトーシスは、脂肪化して機能が低下した肝細胞の除去と新しい細胞の補充のための生体制御と考えられた。肝組織におけるTNF-αの関与に関する分子生物学的な分析は不十分であったので、今後の継続課題としたいと考えている。
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Research Products
(3 results)