2004 Fiscal Year Annual Research Report
犬猫における非侵襲的心拍出量測定法の開発とその臨床応用
Project/Area Number |
16580267
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
山下 和人 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (60244844)
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Keywords | 非侵襲的心拍出量測定法 / 犬 / 麻酔モニタリング / Fick法 / NICOシステム |
Research Abstract |
【はじめに】心拍出量(CO)の測定は心機能の評価に重要であり、麻酔下の動物のCOを把握できればより的確な循環管理が可能になる。犬では、熱希釈法などの侵襲的CO測定法が利用されてきたが、臨床例における日常の麻酔モニタリングには応用し難い。本研究では、犬においてFick法を応用した部分的再呼吸による非侵襲的CO測定法(NICOシステム)を検討した。 【材料と方法】健康なビーグル犬6頭(雄,2歳,体重9.1〜12.3kg,平均10.7kg)にパンクロニウムを用いた調節呼吸下で笑気-酸素-セボフルラン麻酔を実施し、外科麻酔(約1.2MAC)でのドブタミン投与(0、3、および10μg/kg/分)および吸入麻酔薬の過剰投与(約1.7および2.4MAC)によってCOを人為的に増減させ、同時に測定した熱希釈法によるCO測定値(TDCO)とNICOシステムによるCO測定値(NICO)を比較した。NICO測定には、1回換気量200〜500mlに対応した再呼吸ループを接続したNICOセンサと呼吸管理モニタ(NICOモニタ7300,フクダ電子,東京)を用いた。得られたデータの分析には、ピアソンの相関係数(r)および重複測定二元配置分散分析を用い、p<0.05で有意な差があるとした。 【結果】CO測定値の範囲はTDCOで0.89〜4.45L/min、NICOで0.7〜2.6L/minであり、NICOはTDCOよりも常に低値を示し(TDCO-NICO=0.2〜2.4L/min,差の平均±標準偏差:1.06±0.52L/min,p<0.0001)、両者のCO増減に対する変動には交互作用を認めた(p=0.0002)。一方、両者の間には有意な相関関係(r=0.881,n=29,p<0.0001)を認めた。 【考察】Haryadiら(J.Clin.Monit.Compt.16:361-374,2000)は比較的大型の犬を用い(体重18.2〜39.5kg,平均26.0kg)、MICOとTDCOは良好な相関(r=0.93,n=246,回帰式NICO=0.89TDCO+0.52)を示したと報告している。本研究においても両者は良好な相関を示したが、回帰式はNICO=0.46TDCO+0.29であり、とくにCOの高い場合に差は大きかった。NICOシステムによるCO測定は、犬の非侵襲的麻酔モニタリンク法として有用性があると考えられたが、小型犬に応用するためには、再呼吸ループ等に改良が必要と考えられた。
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