2006 Fiscal Year Annual Research Report
水田土壌中のメタン生成系における嫌気性微生物群集構造とその機能の解析
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16580271
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
上木 厚子 山形大学, 農学部, 教授 (60143088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上木 勝司 山形大学, 農学部, 教授 (10111337)
加来 伸夫 山形大学, 農学部, 助教授 (80359570)
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Keywords | メタン生成 / 温室効果 / 嫌気性原核微生物 / 水田土壌 / 無酸素環境 / Prevotella / コバラミン / Bacteroides |
Research Abstract |
(1)水田土壌から分離した新規嫌気性細菌の記載 水田土壌中の異なる画分(土壌、植物残渣、水稲根、根圏土壌)や、異なる培地を用いて分離した多数の保存菌株のうち、今年度は、植物残渣および水稲根からの分離菌株について詳細な特徴付けを行った。 1)植物残渣から分離したKB3株はキシラン分解能を持つ偏性嫌気性グラム陰性桿菌で、発酵性細菌の培養に一般に用いているPY培地での増殖は非常に微弱であった。増殖条件について詳細な検討を行ったところ、本菌株はヘミン存在下では速い速度で増殖し、さらにビタミンB_<12>添加条件でプロピオン酸を旺盛に生成した。ヘミンは哺乳動物由来のBacteroides属関連の多くの嫌気性細菌種の増殖を促進することが知られているが、一般に血液由来と考えられてきており、水田土壌のような環境に棲息する嫌気性細菌がその要求性を持つことはこれまで報告されていない。本菌株の16S rRNA遺伝子の塩基配列の最近縁種との類似性は90%以下で非常に低く、その生理的および化学分類学的も近縁種の特徴と大きく異なったため、本菌株を基準菌株として新属新種(Xylanibacter oryzae)を記載し、Int.J.Syst.Evol.Microbiol.誌に公表した。 2)植物残渣から分離したKB7株と生育中の水稲根から分離したA42株は16S rRNA遺伝子の塩基配列がほぼ同じで、最近縁種であるPrevotella属の種との類似性は92%程度の偏性嫌気性グラム陰性桿菌である。いずれもヘミン要求性があり、発酵生成物は酢酸とコハク酸で、その他の生理的特徴や菌体成分もPrevotella属の種との共通性があった。これまでに記載されているPrevotella属の種はすべて哺乳動物由来のものであり、それ以外の環境からの分離例は皆無であったが、総合的な特徴からこれらの菌株はPrevotella属の新種と考えられた。現在、その記載論文をInt.J.Syst.Evol.Microbiol.誌に投稿中である。 (2)水田土壌中の原核微生物群集の分子的手法による解析 同じ水田土壌から定期的に土壌試料を採取し、これより直接DNAを抽出し、Bacteriaおよびメタン生成古細菌特異的プライマーを用いたPCR-DGGE解析を行い、群集構造の変化を解析した。
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Research Products
(3 results)