Research Abstract |
燃料として末木枝条の持つ発熱量を増大させるために,低コストで乾燥させる技術開発の第一段階として,実験室及び野外での末木枝条の乾燥プロセス,特に乾燥定数について検討した。まず,末木枝条での相対湿度と平衡含水率との関係をもとめ,次に,気温30℃,相対湿度50%の恒温恒湿槽内と野外で66日間の乾燥試験を行い,乾燥プロセスを明らかにした。雨が少なかった16日までは順調に含水率が低下した。降雨の影響を受けて短期的に大きく上昇するが,直後は含水率が大きく減少する傾向にあり,晴天が数日続けば降雨前の含水率まで低下した。初期含水率は145.7%であり,実験期間中の最低含水率は40.4%となった。次に,降雨による吸湿を防ぐシートの効果について検討し,測定期間中,シートで覆わなかった堆積枝条は,シートで覆った堆積枝条より高含水率であった。初期含水率は,シートで覆わなかった堆積枝条が119.7%であり,シートで覆った枝条は114.7%であった。実験期間中の最低含水率は,シートで覆わなかった枝条が50.5%であったのに対して,シートで覆った枝条は35.3%であり,シートによる被覆が降水を遮断する効果があることが確認された。 さらに確認するための追加実験を行うとともに,乾燥に影響する気象要因との関係解析を行い,気象因子から乾燥状態を推定するモデルの構築を行った。 これまで金網で30cm程度の厚さにパッキングしたものを,ほぼ毎日空中に吊り下げ重量の測定を行ったが,時系列での重量変化をより正確に測定するために,パックした末木枝条を台秤に載せ,定時的に重量を計測するシステムを構築した。時間経過に伴う重量変化を計測することができ,同時に現場近くで測定した,日射量と風速,気温との関係を解析し,現在とりまとめ中である。 2年間にわたる重量測定変化の結果と,気象観測の結果をあわせて,気象要因から乾燥プロセスを推定するモデルのプロトタイプを作成した。気温の積算値,および空気湿度および日射量の影響が大きく,これらの要因でモデルを構築した。以上より,気象条件さえ測定すれば任意の地点での末木枝条の乾燥状態を推定することの可能性が示唆された。
|