2004 Fiscal Year Annual Research Report
猛暑による環境攪乱からの回復-護岸壁潮間帯生物群集の再生要因の解明と環境修復
Project/Area Number |
16580276
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
加戸 隆介 北里大学, 水産学部, 助教授 (40161137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 信由 北里大学, 水産学部, 講師 (20296429)
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Keywords | チシマフジツボ / キタムラサキウニ / チヂミボラ / 護岸壁生物群集 / 環境修理 / 付着基質 / 捕食動物 / 潮間帯 |
Research Abstract |
1998年の猛暑による影響で脱落した護岸壁潮間帯生物群集の修復を図ることを目的として本研究を開始した。岩手県越喜来湾崎浜地区の鬼間ヶ崎側護岸壁を調査対象地点とし、2004年4月から2005年2月にかけて、1)護岸壁の潮間帯付近の出現する葡蔔性動物を毎月定性調査した。その結果、キタムラサキウニ、チヂミボラ、ベッコウカサガイが優占した。これら3種について、屋内実験にてチシマフジツボに対する捕食、剥離効果を調べた結果、キタムラサキウニが量的、速度的に最も大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。その捕食効果は、チシマフジツボの殻底長径が10mmまでに及んでいた。さらに、チシマフジツボが付着後間もない時期(6月)の潮間帯にいたキタムラサキウニの消化管はチシマフジツボ片が充満していた。チヂミボラは捕食速度が遅いながら、10mm以上のフジツボにも影響を与えることがわかった。ベッコウカサガイによる剥離速度および圧死効果は小さいと考えられた。 2)上記護岸壁において、付着試験板を用いて、チシマフジツボの付着がその後の生物相形成及ぼす影響を調べた結果、チシマフジツボが付着した板では夏にフジツボ殻を付着基質としてムラサキイガイが付着し、冬には海藻類(マツモ、アオサ、など)が付着した。しかし、チシマフジツボを剥離した板にはイワフジツボやアカフジツボが付着したものの、ムラサキイガイや藻類の付着は見られなかった。 この1年間の結果から、(1)チシマフジツボは護岸壁の生物群集形成に重要な役割を果たしていること、(2)チシマフジツボの存在により他の付着生物量、種数の増加が期待できること、(3)そのチシマフジツボの生残に、潮間帯中部以深では、キタムラサキウニが、潮間帯中部以浅ではチヂミボラが大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。護岸壁生物群集の修復・再生にはこれら捕食動物の制御が不可欠であると考えられた。
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Research Products
(1 results)