2006 Fiscal Year Annual Research Report
猛暑による環境撹乱からの回復-護岸壁潮間帯生物群集の再生要因の解明と環境修復
Project/Area Number |
16580276
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
加戸 隆介 北里大学, 水産学部, 教授 (40161137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 信由 北里大学, 水産学部, 講師 (20296429)
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Keywords | チシマフジツボ / キタムラサキウニ / チヂミボラ / 護岸壁生物群集再生 / 潮間帯 / 表面処理 / 表面処理時間 / 凹凸付与 |
Research Abstract |
1998年の猛暑による影響で脱落した護岸壁潮間帯生物群集の修復を図ることを目的に、岩手県越喜来湾崎浜地区の鬼間ヶ崎側護岸壁を調査対象地点として、チシマジュジツボに着目して本研究を3年間行ってきた。 結果と考察 1,捕食動物の侵入を制限すれば護岸壁の潮間帯生物群集再生可能:対照である護岸壁の現状に大きな変化はなく、3年前と同様に種数も個体数も改善が見られない。一方、チシマフジツボを付着基質とした群集は健在である。ムラサキイガイに被覆されてもチシマフジツボは生き残り、ムラサキイガイ群集の貝殻を付着基質として第2次付着生物(フジジボ類、コケムシ類、海藻類)群集が形成された。これが捕食動物の侵入を制限レた場合の潮間帯極相と見られる。昨年秋の荒天によりチシマフジツボを覆っていたムラサキイガイが大きく剥離した。このサイズのチシマフジツボ群集はウニによる捕食を受けにくいため、今後のチシマフジツボの生残はチヂミボラに依存していると言えよう。20O7年の初春にチシマフジツボの新たな世代加入があり、初めて2世代が同居できるかに興味が持たれる。2.凹凸を付与は春以前に実施する必要がある:凹凸を付与したコンクリート板は明らかに生物群集を形成・維持しやすいが、管棲多毛類やコケムシ類がこの付着基質に先に付着・被覆した場合には、立体的で複雑な生物群集は発達しにくい。これを考慮すると、複雑な生物群集を形成させるためには、試鹸基盤設置(将来的には護岸壁処理)を冬に実施し、チシマフジツボの付着を優先させることが望ましい。3.手のかからないキタムラサキウニ排除方法が生物群集再生の決め手:護岸壁潮間帯生物群集の再生には、チシマフジツボの付着と殻径が10mm程度に成長するまで捕食者から保護することが必要である。そのためにはべ基質表面をウニが匍匐しにくい処理を施すことが決め手であり、次の段階としてその方法を考案することが重要であると考えられた。また、この生物過程が潮間帯でも有効かについて検討する価値があろう。
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