2005 Fiscal Year Annual Research Report
フーリエ変換イオンサイクロトロン質量分析法による植物メタボロミクスの基盤整備
Project/Area Number |
16580281
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
太田 大策 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10305659)
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Keywords | メタボロミクス / FT-ICR MS / P450 / フーリエ変換質量分離装置 |
Research Abstract |
メタボロミクス研究は,従来の分子遺伝学やトランスクリプトミクス,プロテオミクス研究だけでは得ることのできない代謝情報を網羅的に解析し,機能未知遺伝子が担う新たな細胞生理機能を解明するためのブレークスルーとしての役割を果たすことが期待されている.しかしながら,現在のメタボロミクス研究は未だ発展途上にある.例えば,質量分析機器をメタボロミクス研究に使用する際の諸問題(感度,定量性,同定法,イオン化法など)の解決,代謝動態(膜輸送,物質転流)や器官/組織/細胞/細胞内小器官などの特異性解析法の確立,膨大な代謝情報処理法の開発など,多くの学際的研究が必要である.最大の問題は,膨大な数の代謝産物を同定・定量する方法が確立されていないことにあり,新規メタボロミクス技術を提案することが求められている.そこで,本研究課題では,フーリエ変換質量分離装置(FT-ICR MS)を導入し代謝動態の一斉解析(メタボロミクス)の基盤構築を目的とした. 分析条件の最適化により,一度の分析で約〜1000種のイオンの安定した観測を可能にした.また,データを自動的に解析するツールを開発し,高速データ処理により,代謝産物の種類や量の変動を統計学的に解析することを可能にした.一連の解析手法によって,代謝活動変化を簡便に多変量解析し,他のポストゲノム研究成果と統合解析することが可能となった.FT-ICR MSを用いたメタボローム解析は未だ例が少なく,世界に先駆けてこの分析方法を確立し実用化したことは極めて重要である.FT-ICR MSを用いたメタボローム解析は,創薬研究や食品の安全性分析,天然に存在する機能性成分の探索,環境負荷物質の分析など幅広い分野での応用が期待される.データ解析ツールの利用によって,メタボローム解析機器開発の支援が可能となった. このようにして整備したメタボロミクス研究基盤を以って,植物シトクロムP450の機能解析を行った.
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Cytochrome P450 CYP710A Encodes the Sterol C-22 Desaturase in Plants2006
Author(s)
Morikawa T, Mizutani M, Aoki N, Watanabe B, Saga H, Saito S, Oikawa A, Suzuki H, Sakurai N, Shibata D, Wadano A, Sakata K, Ohta D
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Journal Title