2004 Fiscal Year Annual Research Report
リポシドマイシン類の全合成:立体化学と生理活性機構の解明
Project/Area Number |
16590008
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
中島 範行 富山県立大学, 工学部, 助教授 (40188959)
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Keywords | ヌクレオシド抗生物質 / ペプチドグリカン / 生合成阻害剤 / 全合成 / 構造活性相関 / Ns基 |
Research Abstract |
リポシドマイシン類(1)は、Streptomyces griseosporeusの生産するヌクレオシド抗生物質である。バクテリアのペプチドグリカンの生合成をリピドサイクルの初発段階で選択的に阻害する新しい作用機作の新規抗菌剤として、結核菌、多剤耐性菌、日和見感染菌等に対する大きな治療効果が期待されている。本研究では、新しいペプチドグリカンの生合成阻害剤である1をターゲットとして取り上げ、その立体化学を決定するとともに、全合成を行いながら、生理活性機構解明を目的とした構造活性相関研究を行なう。 本年度は、リポシドマイシン類の分解物(2)の合成を達成するために、ジアゼパノン環の5位に本来のカルボキシル基にくらべより安定で扱い易いフェニル基を有し、フルクトース部の1'、2'、3'、5'、6位のそれぞれの水酸基をAc、Ac、Ac、Bn、Bz基で保護したモデル化合物(3)を合成し、ウラシル基やアミノ糖の導入のタイミングを検討した。3に対して、TiCl_4等の種々のルイス酸存在下でビストリメチルシリルオキシピリミジンを作用させてウラシル基の導入を検討したが、ウラシル基が導入された化合物を得ることはできなかった。この原因は、ジアゼパノン環の1位のメチルアミノ基の塩基性にあり、アミノ基をNs基で保護することによって塩基性が押さえられ、その結果ウラシル基を70%程度の収率で導入できることを確認した。現在、多くの官能基の存在下でのNs基の脱保護を行っている。 今後、ジアゼパノン環構造とともにウラシル基を有する基質に対するグリコシル化を検討する予定であり、ウラシル基とアミノ糖部分の導入のタイミングを慎重に決定しながら、全合成を完了させる予定である。
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Research Products
(5 results)