2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規制がん剤のデザインを指向したRA系抗腫瘍性ペプチドの活性発現構造因子の解明
Project/Area Number |
16590015
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
一柳 幸生 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (80218726)
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Keywords | RA-II / RA-VII / アナログ / シクロイソジチロシン / 配座解析 / X線結晶解析 / 細胞毒性 / ペプチド |
Research Abstract |
残基3チロシンの配座を固定したRAアナログの合成 RA類では、残基3チロシン(N, O-ジメチルチロシン)のメトキシル基が活性発現に関与していることが示唆されている。しかし、チロシンの側鎖部位は単結合の自由回転により配座自由度が高く、そのメトキシル基および芳香環がどのような配向をする場合に活性を発現するかは不明である。そこで、残基2-3をシクロイソジチロシンで置き換えて残基3チロシンの芳香環側鎖の配向を固定したアナログをデザインした。このアナログは分子モデリングにより、RA類の活性配座にかなり近い配座構造をとることが予測された。残基2-3および残基5-6に相当するシクロイソジチロシン、N, N'-ジメチルシクロイソジチロシンは前年度に確立した手法により合成し、N-末側にそれぞれD-アラニン、L-アラニンユニットを結合させて残基1-3および残基4-6の二種のトリペプチドを得た。これらを結合させたのち、残基1、残基6間で環化反応(高度希釈)を行い、目的とするアナログを合成した。 RAアナログの配座解析と細胞毒性 合成したアナログはNMRスペクトルより、溶液中(重クロロホルム)では単一の配座構造をとることが示された。NOESYスペクトルより、各アミド結合はRA-VIIの活性配座と同一の立体配置を有し、本アナログがRA-VIIの活性配座に類似していることを示唆していた。X線結晶解析により得られる結晶中のアナログの配座構造を、RA-VIIとほぼ同一の配座構造をとると考えられるRA-IIのそれと比較すると、残基3のチロシンの芳香環の配向を含めてかなり類似していた。本化合物はRA-VIIに比べ、かなり弱い細胞毒性(P388細胞、予試験)を示した。
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