2004 Fiscal Year Annual Research Report
多次元薄板スプライン補間法による経皮経粘膜薬物送達システムの最適化
Project/Area Number |
16590035
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
高山 幸三 星薬科大学, 薬学部, 教授 (00130758)
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Keywords | 薄板スプライン補間 / 人工ニューラルネットワーク / 多目的同時最適化 / ブートストラップ法 / 応答曲面法 / 信頼性評価 / 薬物送達システム / 経皮経粘膜吸収 |
Research Abstract |
薬物の経皮経粘膜吸収を改善し臨床応用へと結びつけるためには、信頼性の高い製剤処方最適化手法を開発することが重要である。これまでに報告者らは、人工ニューラルネットワーク(ANN)を利用する最適化手法(RSM-ANN)を開発し、その製剤設計最適化への応用性を検討してきた。ANNは設計変数と製剤特性間の非線形性を近似する上で優れた手法であり、従来の線形応答曲面法(RSM)に比較して良好な結果が得られる。しかし、ANNは本質的にパターン認識の一手法であること、予めユーザーが設定すべきパラメータが非常に多いことなど、解決すべき問題点が多く残されている。 本研究では、ANNの問題点を克服し得る最適化手法の開発を試み、多次元スプライン補間の応用について検討した。その結果、重調和スプライン補間に線形多項式近似を加味した薄板スプライン補間(TPS)を導入することによって、データに誤差が含まれる場合にも問題なく補間曲面の同定が可能であることを明らかとし、本手法を組み込んだ最適設計支援システム(RSM-TPS)を開発した。ケトプロフェン含有経皮吸収型ヒドロゲル製剤及びパクリタキセル含有マイクロエマルション製剤を選択し、その作製条件の最適化に適用した結果、両製剤ともに妥当で高精度な最適解を探索することができた。 非線形手法に共通の課題として、最適解推定値の信頼性を評価する普遍的な手段がないことが挙げられる。本研究では、RSM-TPSにより得られる最適解の信頼性評価法の開発を試み、ブートストラップ法(BS法)を応用することで良好な結果が得られた。BS法は、くり返しを許して標本再抽出を行い、BS標本から予測される複数の最適解(BS最適解)により信頼性を評価しようとするものである。BS法を適用することによって、最適解の精度(δ)と再現性(γ)の推定が可能となり、従来の線形RSMと同様、一般統計量を用いた最適解の信頼性評価が可能となった。さらに、最適解に対する設計変数の重要度を調べる手段としてBS法を応用したleave-one-factor-out(LOFO)法を開発した。これは、全設計変数より1変数を除いたBS標本を作成し、これにRSM-TPSを適用してLOFO-BS最適解を求め、そのδ値及びγ値から当該変数の重要度を推定するものである。上記二製剤にLOFO-BS法を適用した結果、最適解に対する設計変数の重要度が、一般統計量を用いて記述できることが明らかになった。 次年度は、過去に報告されたDDSの処方設計・最適化事例を収集し、RSM-TPS法による最適解の探索とBS法による信頼性の評価を行い、RSM-TPS法の応用性と限界を調べる予定である。
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Research Products
(7 results)