2006 Fiscal Year Annual Research Report
多次元薄板スプライン補間法による経皮経粘膜薬物送達システムの最適化
Project/Area Number |
16590035
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
高山 幸三 星薬科大学, 薬学部, 教授 (00130758)
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Keywords | 薄板スプライン補間 / 応答曲面法 / 最適化 / 信頼性評価 / ブートストラップ法 / 自己組織化マップ / クラスタリング / 薬物送達システム |
Research Abstract |
薬物送達システム(DDS)の開発研究は投薬技術の最適化を目的とするものであり、その製剤設計は科学的根拠に基づくもめでなければならない。また製剤設計の高効率化や開発コスト削減の要求に問題無く対処するためには、優れた最適設計支援技術を開発する必要がある。本研究では、昨年度までの研究により開発した多次元薄板スプライン補間(TPS)を利用する新規最適化法(RSM-S)を適用し、経皮経粘膜DDSの設計・最適化を行った。さらに、最適解予測値の信頼性について、ブートストラップ(BS)法と自己組織化マップ(SOM)を基礎とする新たな評価法を開発し、その有用性を検証した。 DDS製剤の処方設計における設計変数と製剤特性間の相関モデル作成プロセスにTPSを導入することで、計測データに実験誤差が含まれる場合にも無理なく補間曲面の同定が可能となり、古典的な応答曲面法(RSM)に比べ予測精度が格段に向上した最適設計支援システム(RSM-S)を構築した。モデル製剤としてテオフィリン含有経口徐放型DDS、ジクロフェナク含有経皮吸収型DDS及びインスリン含有経口粘膜吸収型DDSを選択し、これらDDSの最適設計にRSM-Sを適用した。その結果、いずれのDDSにおいても有効性、安全性及び安定性に関する特性の予測値は実測値と高精度に一致し、RSM-Sの有用性が検証された。 RSM-Sで推定された最適解の信頼性を評価するためにBS法の応用を試みた。BS法は標本に対して多数回の復元抽出を行い、これより標本の信頼性評価を行うものである。本研究では、はじめに実験計画法に従って得られたデータセット(オリジナル標本)に対して復元抽出を適用してBS標本を作成した。次にBS標本にRSM-Sを適用してBS最適解を推定し、BS最適解の分布を観察した。その結果、いずれの事例においてもBS最適解の集合は全く正規分布に従わず、複数の異なるクラスターを構成することが示された。従って、RSM-Sにより推定される最適解の信頼性を正しく評価するためには、最適解の所属するクラスターを同定する必要がある。そこで、BS最適解のクラスタリングを目的としてSOMの適用を試みた。SOMは入力層と出力層の2層から構成される人工ニューラルネットワークであり、多変量データの非線形クラスタリングに有効利用されている。上述した3種類のDDSについてBS最適解のSOMクラスタリングを実施した結果、いずれの事例においても最適解の所属するクラスターを明確に識別することができ、これよりRSM-Sで得られた最適解の信頼性評価が可能となった。最適解の信頼幅はクラスタリングパラメータである出力層のノード数やクラスタリング手法による影響をほとんど受けなかった。以上よりRSM-Sで推定された最適解の信頼性評価にはBS法とSOMの併用が有効であると考えられる。
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Research Products
(11 results)