2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛発生機序におけるケモカインの役割に関する分子薬理学的研究
Project/Area Number |
16590047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 雅文 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (20243040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 貴之 京都大学, 薬学研究科, 助手 (30303845)
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Keywords | MCP-1 / ATF3 / 一次感覚神経 / ミクログリア / アロディニア / 痛覚過敏 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、神経因性疼痛モデル動物の一次感覚神経においてケモカインの1つであるmonocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)の産生が亢進していること、MCP-1の脊髄クモ膜下腔内投与によりアロディニア(神経因性疼痛の1つで、弱い触刺激でも痛みを感じる状態)が惹起されることを見出している。本研究では、神経因性疼痛発生機序におけるケモカイン、特に、MCP-1の役割を明らかにすることを目的とし、先ずは、神経因性疼痛モデル動物一次感覚神経におけるMCP-1産生亢進がどのような細胞で惹起されているかを明らかにするため、免疫組織化学的検討を行った。 一次感覚神経は伝える感覚情報の違いにより、Aβ、AδおよびC線維に分類され、それぞれ、大型、中型および小型の細胞体を有することが知られている。そこで、一次感覚神経細胞体の面積を測定することにより神経細胞を分類した。また、Seltzerらの方法による神経因性疼痛モデルでは一次感覚神経の一部が傷害されるが、MCP-1産生細胞が、そのような傷害された神経であるか、あるいは周辺の傷害されていない神経細胞であるかは明らかでない。この点を明らかにするため、傷害された神経細胞のマーカーであるATF3との蛍光二重染色を行った。 MCP-1産生亢進は大型から小型までのすべての神経細胞で同程度に観察されたが、大型では傷害された(ATF3陽性)神経細胞でのみ産生が見られたのに対し、中型〜小型では傷害を受けていない(ATF3陰性)の細胞でも産生亢進が観察された。中型〜小型の神経細胞では何らかの細胞間相互作用により、傷害を受けていない神経細胞にも情報が伝達されMCP-1産生亢進が惹起されることが示唆された。
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Research Products
(2 results)