2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期による薬物代謝酵素レベルの変動に関る核内受容体とそのコファクターの解明
Project/Area Number |
16590056
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
菅谷 純子 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (30098131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉成 浩一 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (60343399)
三輪 匡男 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10046287)
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Keywords | 細胞周期 / 核内受容体 / コファクター / 薬物代謝酵素 / UGT1A1 / CYP2B6 / グルクロン酸抱合酵素 / CAR |
Research Abstract |
生体異物の代謝・解毒・排泄に重要な役割を果たしている薬物代謝酵素の生体内における酵素活性レベルの個体差が薬物副作用に関係するなど、構造遺伝子はじめ転写調節機構を解明することは、医薬品の副作用発症機序解明の上でも期待されている。これら薬物代謝酵素(CYP2B6,UGT1A1など)の同一組織細胞間の発現量の差が細胞の生育環境に依存していることを示唆するデータが多数の研究者グループから報告されているが、詳細な機構は未だ解明されていないことから、細胞周期、生育環境に依存した薬物代謝酵素の遺伝子発現調節機構について解析を進めた。薬物代謝二相酵素であるグルクロン酸抱合に関わるUGT1A1に着目し、その転写誘導機構を解析する過程で、290bpのフェノバルビタール応答エレメントgtPBREM内に核内受容体CAR, PXR, GR結合部位が存在することをゲルシフトアッセイ、レポーターアッセイ等を行って明らかにすると共に、これら転写因子間にコファクターGRIP1を介したクロストーク調節機構が存在することを見い出した。これらの知見を基に、ヒト培養細胞を用いて解析を進め、ウシ胎仔血清を添加した増殖培地で生育させたヒト肝がん由来HepG2細胞には核内受容体CAR並びに代表的薬物代謝一相酵素CYP2B6や二相酵素UGT1A1が殆ど検出されないが、細胞増殖因子無添加の培地で培養した細胞や、細胞複製を抑制した環境下で生育した細胞ではCAR mRNA,蛋白質の顕著な発現誘導が認められること、CARの発現誘導に伴って薬物代謝酵素(CYP2B6、UGT1A1)レベルが増大することを明らかにした。この結果は、これら薬物代謝酵素の発現が細胞生育環境に依存していることを示すものであり、ウシ胎仔血清中に核内受容体CARの発現を抑制する因子の存在が推察され、現在同定を進めている。
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Research Products
(6 results)