2004 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞特異的蛋白質アディポネクチン/GBP28は生体防御に働く
Project/Area Number |
16590061
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
富田 基郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (30102370)
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Keywords | アディポネクチン / ゼラチン結合タンパク質 / 血液タンパク質 / トランスジェニックマウス / アンチセンストランスジェニックマウス / 生体防御 / 腸管出血 / GBP28 |
Research Abstract |
アディポネクチン/GBP28は、脂肪細胞が特異的に発現・分泌するタンパク質であり、最近、血中遊離脂肪酸を低下させ、インスリン抵抗性を改善するために抗糖尿病薬となりうることが判明し注目されている。一方、本タンパク質は動脈硬化叢に沈着し、動脈硬化叢の進展を抑制しているという報告もあり、抗炎症作用に関してもやはり注目されている。 本研究では、アディポネクチン/GBP28のトランスジェニック(Tg>およびアンチセンストランスジェニックマウス(antiTg)の作製に成功したので、これらの遺伝子改変マウスを用いて、上記の抗糖尿病活性や抗炎症活性に関する解析を行った。これらはニワトリβアクチンプロモーターを利用したので、基本的には全身組織に発現するはずである。実際にノーザンブロット解析により、野生マウスと異なり、肝臓、腎臓、小腸にも発現しており、またanitTgでは脂肪組織でのアディポネクチン/GBP28の発現が抑制されていた。成長過程における血中アディポネクチン/GBP28濃度を測定したところ、Tgマウスでは雌雄とも生後5週間までは有意に野生マウスよりも高値を示した。しかし成熟するに従って差がなくなっていった。特に雌では性周期による濃度変化の方が大きく影響するようになった。anitTgマウスでは、野生マウスに比べていずれの時期、雌雄の別なく血中濃度は低かった。脂肪組織における違いを調べたところ、antiTgマウスでは雄副精巣脂肪組織が著しく減少していた。またそれぞれ別の部位にある脂肪組織によって発現量が野生型と変化していることがわかった。 次に絶食するとantiTgマウスが腸管出血しやすいという興味ある初期知見を得ていたので、この詳細な解析を開始した。絶食によりantiTgマウスは体重減少が、Tgや野生型マウスに比べて有意に早かった。ついで腸管出血死に至る前に、前兆として体温の低下、行動の低下が起こることが判明した。これらの指標は自動測定が可能なので、腸管出血死直前の状況を解析することが可能になった。
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