2005 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞特異的蛋白質アディポネクチン/GBP28は生体防御に働く
Project/Area Number |
16590061
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
富田 基郎 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (30102370)
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Keywords | アディポネクチン / ゼラチン結合蛋白質 / 血液タンパク質 / トランスジェニックマウス / 低温暴露 / 生体防御 / 腸管出血 / GBP28 |
Research Abstract |
アディポネクチン/GBP28は脂肪細胞が特異的に分泌する蛋白質であり、最近、血中遊離脂肪酸を低下させ、インスリン抵抗性を改善するために抗糖尿病薬としての可能性が注目されている。本研究では、アディポネクチン/GBP28のトランスジェニック(Tg)およびアンチセンストランスジェニックマウス(antiTg)を作製して、上記の抗糖尿病活性に関する解析を行った。これらはニワトリβアクチンプロモーターを利用しており全身組織に発現するはずであり、実際にTgマウスでは、肝臓、腎臓、小腸にも発現しており、またantiTgマウスでは脂肪組織でのアディポネクチン/GBP28の発現が抑制されていた。 さて、絶食させるとanitTgマウスでは脂肪組織の減少速度が野生やTgマウスに比べて大きく、また48時間後に腸管出血死しやすいことを見出した。腸管出血の原因は、腸内細菌の腸管経由での侵入によるものと推定された。このことはアディポネクチンが生体防御にも関与すると推定して本研究を開始した。 しかし、antiTgマウスでは栄養供給が絶たれたときに環境変化に適応して、脂肪代謝を制御する能力が弱くなっているのではないかという可能性も考えられる。そこで、本年度では急遽実験計画を変更して、エネルギー代謝量を変化させる別の環境変化として、5℃という寒冷暴露を行った(食餌は自由に摂取)。興味あることにantiTgマウスは、野生やTgマウスに比べて体温が早く低下し始めることが分かった。すなわち、antiTgマウスは体温を維持するための脂肪代謝の調節に異常であることを示唆する。残念ながらantiTgマウスはまだ1系統しか作製できていないので、さらに別系統のantiTgマウスを作製して、上記の減少が普遍的であることを確かめたい。
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