2005 Fiscal Year Annual Research Report
ガンの転移抑制および薬剤耐性阻害を目的とした分子標的薬開発に関する基盤研究
Project/Area Number |
16590067
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences |
Principal Investigator |
伊東 晃 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (70096684)
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Keywords | ガン / 浸潤・転移 / P-glycoprotein / EMMPRIN(エンプリン) / MMP-1 / collagenase-1 / ヒンジ領域 / ノビレチン |
Research Abstract |
昨年度のEMMPRINとMMP-1/コラゲナーゼ-1複合体の機能解析の研究成果に基づき,EMMPRIN機能の抑制を目的とした分子標的薬の開発およびガン細胞の薬剤耐性の主因子であるP-糖タンパク質(P-gp)の機能抑制を対象とした化合物のスクリーニングおよびその作用機序を検討し, 以下の成果を得た. 1.活性型MMP-1がガン細胞上のEMMPRIN分子へ結合すると当該細胞の浸潤活性が増加すること,さらにMMP-1のEMMPRINへの結合はMMP-1ヒンジ領域が関与することから,ヒンジペプチド(17mer)のガン細胞浸潤能に及ぼす作用を検討した.その結果,ヒンジペプチドの前処理あるいは共存下に活性型MMP-1のガン細胞への結合が阻害された.また,活性型MMP-1の結合によるガン細胞の浸潤活性も効率良く阻害された.このことは,ヒンジ領域ペプチドおよびその誘導体が,ガン細胞の浸潤阻害剤として有用であることが判明した.当該ペプチドおよびその誘導体をガン浸潤・転移阻害剤とする特許を出願した(特願2005-3222799). 2.EMMPRIN分子上のMMP-1結合領域の同定を目的とし,EMMPRINの全領域を網羅するデコイペプチド類を作成し,MMP-1のEMMPRINへの結合阻害実験を行いMMP-1のEMMPRIN結合領域を検索しているが,現在まで結論は得られていない. 3.薬物排出機能を有するP-gpに対するポリメトキシフラボノイド・ノビレチンの作用を詳細に検討し,ノビレチンが当該タンパク質機能を濃度依存的に阻害することが明らかとなった.また,ガン化学療法剤シクロスポリンとノビレチンとの併用は,低用量でのシクロスポリンのガン細胞の増殖抑制作用が期待できることが判明した.
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Research Products
(4 results)