2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患モデル動物における神経・グリア・幹細胞移植の研究
Project/Area Number |
16590071
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北村 佳久 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (60195295)
|
Keywords | ミクログリア / アストロサイト / 胚性幹細胞 / 神経幹細胞 / アミロイドβ / アルツハイマー病 / ドパミンニューロン / パーキンソン病 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の病理所見として多数の老人斑の形成、そしてその周辺へのミクログリアの集積が挙げられる。老人斑の主要構成成分であるアミロイドβ(Aβ)は生理的条件下でも産生されており、産生と分解・代謝のバランスが保たれなくなることにより、蓄積すると考えられている。そのため、AD治療・予防の観点からも、このバランス調節機構を理解することは重要である。本研究では、in vivo系におけるAβプラークの形成とミクログリアの関係を解析した。PSAPPトランスジェニックマウスの脳内において、著しいAβプラークの形成およびそのプラークへの活性化ミクログリアの集積が認められた。しかしながら、この変異マウスでは顕著な神経細胞の脱落は認められていない。また、Aβ1-42(Aβ42)を海馬実質内に投与したラットにおいてもAβプラークおよび活性化ミクログリアの集積が確認されたが、脳内Aβ42量は時間依存的に減少していった。活性化ミクログリアによる炎症性サイトカインはADにおける神経細胞死を誘導すると考えられてきたが、近年では一部の炎症性サイトカインの神経保護作用が明かとなっている。さらに、ADにおけるAβワクチン療法の検討では、Aβプラークに結合した抗Aβ抗体がミクログリアを活性化しAβ貧食作用を促進するメカニズムが提唱されている。以上のことから、活性化ミクログリアはADにおいて代償性神経保護に関与することが示唆される。また、パーキンソン病モデルラットの線条体に、マウス胚性幹細胞をニューロン様に分化させた細胞を移植すると、行動異常が改善された。中枢薬理学的解析から、この改善には、マウス由来のドパミンニューロンに分化した細胞が、主に寄与していることが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)