2004 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン受容体遮断薬の新たな降圧作用発現機構の関する研究
Project/Area Number |
16590074
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
屋山 勝俊 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30248108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷹野 正興 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (30258107)
岡本 博 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (00028870)
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Keywords | 高血圧 / アンジオテンシンII / レニンーアンジオテンシン系 / 一酸化窒素合成酵素 |
Research Abstract |
【背景・目的】我々は、胸部大動脈に圧負荷をかけたモデル(Bandingモデル)ラットの胸部大動脈において、(1)AT2受容体の発現に亢進がおこること、(2)アンジオテンシンII(AngII)に対する収縮応答性が低下していること、を報告している。近年、血管におけるAT2受容体刺激は、ブラジキニン(BK)、一酸化窒素(NO)/cGMP系の活性化を介し、血管拡張に働くと報告された。そこで、Bandingラットの胸部大動脈で認められたAngIIに対する収縮応答性の低下に、BK/NO/cGMP系の活性化が関与しているか否かについて検討を行った。 【方法】4週齢雄性Wistarラットの腹部大動脈に狭窄部位を作りBandingモデルラットを作製した。Banding処置28日目に胸部大動脈を摘出し、血管収縮実験を行った。 【結果・考察】Banding処置後7、28日目の血管において、Banding群は、Sham群に比べAngIIによる血管収縮反応に抑制が認められた。この収縮反応の抑制は、AT2受容体遮断薬であるPD123319を前処置することにより認められなくなった。次に、この収縮反応の抑制にBKが関与しているかをブラジキニンタイプ2受容体遮断薬であるイカチバントを用いて検討した。Banding処置後7日目の血管では、イカチバントを前処置しても、AngIIによる血管収縮は抑制されたままであったが、Banding処置後28日目の血管ではイカチバントを前処置することにより収縮抑制が認められなくなった。 以上の結果より、Banding処置後28日目の血管において、AT2受容体が発現亢進しており、AT2受容体の発現亢進は、AngIIによる血管収縮に対して抑制的に働いていること、そして、その収縮抑制にはブラジキニンが関与していることが確認された。しかしながら、圧負荷血管におけるAT2受容体を介した収縮反応の抑制機構は、7日目と28日目の血管において異なっており、この機構の違いについては現在検討中である。
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Research Products
(3 results)